佐々木美佳『うたいおどる言葉,黄金のベンガルで』を読む
宇部市には「工夫舎」という小さな,しかし魅力的な品ぞろえの本屋があって,そこで買ったのがこの本,
佐々木美佳『うたいおどる言葉,黄金のベンガルで』(左右社,2023年)
である。
天竺に思いを寄せていた福井の少女が,この上なく「甘い」ベンガル語に魅せられ,やがてタゴールの歌に関する映画を作りまでに至る。短く言えばそんな経緯をつづった本である。
本書では,著者自身の生い立ち,ベンガルに魅せられるようになった経緯のほか,ベンガル語の響き,ベンガル語を話す人々(バングラデシュや西ベンガル州の人々)のこと,バングラデシュ独立の歴史,タゴールやサタジット・ライといった偉大な文化人のこと,などが著者の体験をもとに記されている。いいことばかりではなく,バングラデシュ人の恋人に裏切られたというエピソードまで紹介されている。
老生は他の人よりはアジア各国に行った経験が多い方だと思う。だが,ベトナム,ラオス,カンボジア,タイ,ミャンマーと西航しつつも,そこから先,ひとっ飛びにネパールに行ってしまったため,バングラデシュ(とインド)に行ったことはない。無視したわけではないが,興味もさほど湧かなかった。そんな老生が,読んでいるだけでバングラデシュに一度は行ってみたいと思いはじめるぐらい素晴らしい本だ。
この本で学んだ言葉が一つある。「ジュガール」という言葉だ。ありあわせのものでなんとか対応するということ。つまり,高野秀行がよく言っている「プリコラージュ」のことだ。










