2018.10.28

戊辰丁丑十年戦争:異説明治維新

山口などでは維新150年ということが多いが,奥羽越各地では戊辰150年である。

いわゆる明治維新を「新しい日本の夜明け」などと能天気に喜ぶわけにはいかない。

明治に入ってからも政治・財政・軍事制度は整わず,国内は不穏な空気に満ちていた。御一新などと言いつつ,キリスト教徒への弾圧などの旧弊も続いていた。

明治10年の西南戦争を経て,木戸,西郷,大久保の三人が冥界に送り出された後,ようやく日本は統一国家の体を成し,近代化への歩みを再開したといえるだろう。

いま「近代化の再開」といったが,後装式銃,蒸気船など近代テクノロジーの導入を近代化というのであれば,それらはすでに幕末から始まっていたし,政治システムの改革は幕府主導で進められていたから,「近代化の再開」というのである。

戊辰戦争から西南戦争に至る10年間は,国政の主導権が幕府から新政府に移ることによって生じた混乱の時代であり,この混乱を干支をとって,「戊辰丁丑十年戦争」と呼んでも良いのではなかろうか。

ちなみに,戊辰戦争の死者は諸説あるものの,幕府・新政府軍あわせて8400名ぐらいだと言われている。これに対して,西南戦争は政府軍・薩摩士族あわせて13200名であり,死者の規模では戊辰戦争を上回る。

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2018.10.24

孤狼のグルメ

――久しぶりの三田だ。

まだ会議まで時間があるし,何か腹に入れておこう――。

ということで,降っているのかいないのかわからない程度の小糠雨の中,店探し。

ピークを過ぎつつある昼の三田の飲食店街をうろうろしていると,とある路地の奥に看板が見えた。

「ビストロ&スペイン古民家バル chab」

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――スペイン料理!

うん,いいじゃないの――。

丼物,定食,麺類といった,いかにも昼飯っていう感じじゃないのがいい。

住宅を改造したらしい店内。十人ほど入れば一杯になりそうだ。

カウンターの奥には先客が1名。テーブル席には男女。そして別のテーブルには女性三人組。

いずれも若い。勤め人には見えないから,慶應の学生だろう。

カウンターに案内された。先客から椅子2つ分離れて座る。

4つあるランチメニューの中から,牛肉のトマト煮を選んだ。コバラベリーにはちょうどいい感じ。チーズのトッピングを付けて計850円。

前菜をつまみながら,暫時待つ。すると,バケット半分と一緒に,バーナーで表面を焼いたばかりの熱々の料理が登場。

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やけどしないよう,少しずつスプーンで掬って食べる。トマトの酸味にチーズの味が加わってちょうどいい感じになっている。トッピングにチーズを選んで正解。ワインでコトコト煮たという牛肉が舌の上で溶ける。

――ああ

この豊かな気持ち――。

時々,バケットをちぎり,トマトソースを付けて食べる充実感。

出張先でこんな良い思いをして申し訳ない。

ツマには千疋屋の絹ごしフルーツ杏仁豆腐でもお土産に買っていこうか。

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2018.09.25

週刊誌,印刷部数栄枯盛衰

一般社団法人 日本雑誌協会が公表している印刷証明付発行部数のデータを見ている。

印刷部数≠販売部数だが,売れ行きが悪ければ印刷部数も減るわけで,それぞれの雑誌の売れ行きが推定できる。

週刊誌の2008年第2四半期(2Q: 4月~6月),2013年第2四半期,2018年第2四半期の印刷証明付発行部数データをグラフ化してみたのだが,このグラフからは各誌の栄枯盛衰が見えてくる。

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どの雑誌も,年々印刷部数の減少が続いているのだが,AERA,週刊朝日,週刊プレイボーイ,週刊大衆はこの10年間で印刷部数が半分以下になってしまった。SPA!の2018年2Qの印刷部数は,かろうじて2008年2Qの49%減に留まっている。

週刊現代と週刊文春は良く健闘している。10年間で20%しか部数を減らしていない。これらに次いで健闘しているのが週刊ポストだ。10年間で30%減。

週刊文春と並ぶ週刊誌界の雄,週刊新潮が苦戦している。10年間で41%減だ。この勢いだと,まもなく週刊現代に敗れる。

このグラフの下の方に読売ウィークリーというのがちらりと見えるが,これは2008年12月に休刊した。あらたにNewsweek日本版が統計データとして登場しているが,これも大苦戦中だ。5年間で3分の2に落ち込んでいる。

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2018.09.06

モンプチのさりげない遊び心

うちのおこま嬢には,ご飯(おやつ?)としてモンプチ(Mon Petit)なぞ差し上げている。

そのパッケージにさりげない遊びがあったのでご紹介する(知っている人は知っていると思うが)。

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パッケージの一部に打ち抜き加工が施されており,大小合わせて全部で8つ,猫の顔の形の紙片が取れるようになっている。

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しかもそのうちの一つは,パッケージの猫の顔写真がそのまま取り出せる。

モンプチ(ネスレ・ピュリナ)のさりげない遊び心。


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2018.08.06

自分で考える

出張のお供にルドルフ・シュタイナー著・高橋巖訳『ニーチェ みずからの時代と闘う者』なんぞを持ち歩いて,少しずつ読んでいるところである。

この本はシュタイナーが34歳の時に上梓した本で,シュタイナーによるニーチェ思想の解説本である。

ニーチェはショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』を読んで,「これは俺のために書いた本じゃないのか」と感動したそうである(※)が,シュタイナーはニーチェの著作を読んで,同じことを思った。

ニーチェがショーペンハウアーについて書いた文章をもじって,シュタイナーはこう書いている:

「ニーチェの書いた本の最初の一頁を読んだだけで,すべての頁を読み通すであろう,彼の語ったどんな言葉にも耳を傾けるであろう,と確信するであろうような,私はそういうニーチェの読者の一人なのである。」(『ニーチェ みずからの時代と闘う者』(岩波文庫)19ページ)

そのぐらい,ニーチェの理解者であると自負するシュタイナーが,ニーチェの観念生活・感情生活を表現したいと思って書いたのがこの本である。

(※)『意志と表象としての世界』は大部で難解だったため,はじめ2冊しか売れなかったというが,その2冊を買ったのはきっとニーチェとワーグナーだったのだろうと勝手に想像している(史実じゃないから信じないように)。


◆   ◆   ◆


この本には随所に「同調圧力に負けないで,自分自身を拠り所にしろ」というようなことが書かれている。

あと,「判断とか思考とかの価値は,論理的な正しさではなく,それらが人生を充実させるかどうかにある」というようなことも書いてある。なかなか良い本だ。

「自分自身を拠り所にしろ」というのは,ニーチェの言葉(というかツァラトゥストラの言葉)では「君たち一人ひとりの内部でしか聞こえない声に耳を傾けなさい」という表現になる。

同じようなことは,原始仏教でも言われている。たとえば,他にも以前紹介したワールポラ・ラーフラ著・今枝由郎訳『ブッダが説いたこと』(参考)でも,「自分自身が,自分のよりどころである」(『ブッダが説いたこと』136頁)と述べられている。ちなみに,パーリ語原典では,

"Atta hi attano natho"(Dhammapada Verse, 160)

という。

大事なことは,むやみに信じるのではなく,自分で考えることだ。

それができるか,というと難しい。時代の趨勢と対決し思想的に孤独となることは避けられない。だが,孤独を恐れないものには,自分の人格の深層に潜む宝を掘り出す機会が与えられる。

ブッダ曰く「聡明な人は独立自由をめざして,犀の角のようにただ独り歩め」(中村元訳『ブッダのことば―スッタニパータ』)。

そして,ツァラトゥストラ(ニーチェ)曰く「私は自分を求めた。私はあなたがたに教える通りの人間だ。行って,あなたがた自身を求めなさい。そうすれば,超人になれる」。

ブッダからニーチェ・シュタイナーまで,同じ道が示されている。

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2018.08.03

YCAMはworld-renowned

アシアナ航空の機内誌を読んでいたら,

"Ryuichi Sakamoto: Back to the Basics" (by Kim Bum Sang)

という記事が載っていた。

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キョージュのこれまでの業績と現在についてまとめた記事だったが,その中で

"through collaboratoin with the world-renowned media art research institute Yamaguchi Center for Arts and Media, Sakamoto presented his "installation music" works that involved water, steam, and mist."

という文章に出くわした。

Yamaguchi Center for Arts and MediaはYCAMの正式名称。

確かにYCAMは世界的にも先進的な試みをしていて,よくメディア/アート界の有名人が来るのだが,"the world-renowned"と評されるまでになっているとは。

山口県民はこれを誇って良い。

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2018.07.24

2018年大暑の夜のキュレーション

ついに東京都内でも40℃を超え,埼玉県熊谷市で41.1℃となり記録を更新するなど,酷暑がエスカレート。まったくもって「大暑」の名にふさわしい一日となった。

日付が変わったものの,この大暑の夜に気になったニュースを一挙に並べる次第である。人の褌で相撲を取る,とも言う。


◆   ◆   ◆


東京の夏が「昔より断然暑い」決定的な裏づけ:過去140年の日別平均気温をビジュアル化」(荻原和樹,東洋経済オンライン編集部,2018年7月21日)

ヒートマップで示されると,納得。


◆   ◆   ◆


投資信託:家計保有額、30兆円以上も誤計上 日銀がミス」(毎日新聞,2018年7月23日)


公的統計で凡ミスどころではない,痛恨のエラー。


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又吉イエスさん,死去」(J-CASTニュース,2018年07月23日)


政界の良心,一服の清涼剤が・・・。


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オウム処刑と天皇制」(伊藤智永・編集委員兼論説委員,毎日新聞,2018年7月22日)

あの日,思い出したのが,『坊ちゃんの時代第五部 不機嫌亭漱石』で描かれた,早朝からの処刑開始のくだり。


◆   ◆   ◆


信者を集めて年収1千万? カルト化するネトウヨ商売の闇 安田峰俊×古谷経衡が語るネトウヨ最前線」(文春オンライン,2018年7月12日)

昔のネトウヨ(?)はエスプリが効いていたというか,ユーモアがあったんだけど,層が入れ替わっちゃったんだよなぁ。


◆   ◆   ◆


ということで,今夜は大漁。

ついでながら,今日,某所で見かけて感心した本のタイトルを紹介して本記事を閉じる:

災害は忘れた所にやってくる

今もなお続く,豪雨災害のことを思う。


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2018.07.23

玉虫が来た

うちの庭のイヌツゲに,なんかきれいな虫がいると思ったら,玉虫だった。

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玉虫の色は構造色といって,色素などによる発色ではなく,微細構造による発色である。CDやシャボン玉が虹色を発するのと同じ原理。

幼虫は農家・園芸家にとっては害虫なのだが,成虫の美しさは格別。玉虫厨子とか思い出した。

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2018.05.08

加古里子,古川薫,訃報相次ぐ――実はどちらもエンジニア

5月2日に加古里子(かこさとし)が,5月5日に古川薫(ふるかわかおる)が逝去した。

加古里子は1926年3月31日生まれ,古川薫は1925年6月5日生まれで,同学年。どちらも92歳で没した。

加古里子といえば,『だるまちゃんとてんぐちゃん』

だるまちゃんも,てんぐちゃんも子供なのに髭面というのがとても良い。


◆   ◆   ◆


古川薫と言えば,下関生まれの郷土作家。幕末期の長州藩を舞台にした作品が多い。

山口大学教育学部を卒業後,教員を経て山口新聞に勤務。1990年に『漂泊者のアリア』で第104回直木賞受賞。

老生が読んだ『斜陽に立つ』(毎日新聞社,2008年)は乃木希典(と児玉源太郎)の生涯を描いた評伝小説。ほぼ晩年の作。

この作品の後は『君死に給ふことなかれ 神風特攻龍虎隊』(幻冬舎,2015年)と『維新の商人 語り出す白石正一郎日記』(毎日新聞出版,2017年)のみ。


◆   ◆   ◆


実はこの人たち,学年が同じというだけではない。エンジニアとしての教育を受けてきた,という共通の背景がある。

古川薫は航空機のエンジニアになるため宇部工業学校機械科を卒業し,航空機会社に勤務した。

加古里子は東京大学工学部応用化学科を卒業後,昭和電工に勤務した。

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2018.04.05

グアテマラ・コーヒー

グアテマラからお客さんが来て,お土産にコーヒーをくれた。

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たっぷり440gもある。計量スプーンとマヤ人を描いたマグカップも貰った。

グアテマラは農業国で,コーヒー,砂糖,バナナがおもな輸出品である。

人口1,658万人。北海道と四国を合わせたぐらいの面積の国である。

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International Coffee Organizationのウェブページで世界のコーヒー生産量を調べてみたら,こんな結果だった。

2017/18年度の1位から13位
(シェア1%以上の国)
×1000[袋(60㎏入り)] シェア[%]
Brazil 51500 32.4
Viet Nam 28500 17.9
Colombia 14000 8.8
Indonesia 10800 6.8
Honduras 8349 5.3
Ethiopia 7650 4.8
India 5840 3.7
Uganda 5100 3.2
Peru 4600 2.9
Mexico 4000 2.5
Guatemala 3800 2.4
Nicaragua 2500 1.6
Costa Rica 1560 1.0
World 158930 100

ということでグアテマラは世界11位のコーヒー生産国である。

もらったコーヒーはマイルドな味わいだった。

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