『カフェから時代は創られる』読了
あれやこれやの合間に読んだので,ひと月ほどかかったが,飯田美樹『カフェから時代は創られる』読了。
ステファン・ツヴァイク,ボーヴォワール,藤田,ヘミングウェイなどなど様々な「天才」たちの証言を交えながら,創造的な活動を生み出す場としてのカフェの効能について語っている。
参考文献が多いだけでなく,パリのカフェに通い,サロンやカフェを運営した著者自身の体験に裏付けられていて説得力がある。なによりも熱量がある。
とても面白かったことをいくつか挙げておく:
- カフェの店主の役割(第5章より): 例えば芸術や文学など,カフェに通う若者が議論し追及している物事に対しては直接介入しない。何者かになろうとしている若者を人間として応援する。
- インスピレーションの場(第6章より): カフェに来ている様々な客の会話の重なり合い。これはノイズのようでもあるが,インスピレーションの源泉でもある。何事かを生み出そうとする人々にはノイズをインスピレーションの源泉に変える偶発力が必要である。
クリエイティビティについて書かれた本は多いが,この本は面白いし別格。
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