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2023.05.09

5月なのに山口オクトーバーフェスト|リターンズ

コロナ禍の影響でしばらくご無沙汰だった「山口オクトーバーフェスト」(2019年のレポートはこれ,2018年のレポートはこれ

ついに帰ってまいりました。

ということでこのGW中に行ってまいりました。

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最初の一杯はWarsteinerのPremium Dunkel(500ml, 1600円+グラスのデポジット1000円,アルコール4.8%)。軽い口当たり,深みのある味わい。

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つぎにドイツ最古の醸造所:ヴァイエンステファン(Weihenstephan)のヘフェ・ヴァイス(500ml, 1600円,アルコール5.4%)を。

これはこれでフルーティーでうまい。

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あとは日本初上陸のオリジナルへレスを飲んだけど,見た目がヘフェ・バイスと区別がつかないので写真は省略。オリジナルへレスはのど越し抜群で,これもうまい。

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テントの中は大賑わい。

バンドの演奏に合わせて,バイエルン国歌(嘘)を斉唱:

 〽 Ein Prosit, Ein Prosit, der Gemütlichkeit !

そして会場全体で乾杯。

どれもこれも美味くていけませんね。

ビールについてもっと勉強しよう。

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2023.05.08

『カフェから時代は創られる』

昨年10月に広島PARCOで開催された「BOOK PARK CLUB(ブックパーククラブ)」で購入したのがこの一冊:飯田美樹『カフェから時代は創られる』である。

積読(つんどく)状態が続いていたが,このGWに読み始めた。面白い。

時代を作る人たちのことを天才と呼ぶ。天才は生まれながらにして天才ではなく,カフェの中で天才になるのだ…というのが大まかな趣旨。

端的に言えばこういうことだ:

例えば一流の画家になろうとする。それを強く思うのが第一歩。

だが,思っているだけではダメで行動に移さなくてはならない。

しかし,行動に移すと周囲の人々の無理解に直面し,挫けそうになる。

そんなとき,同じ思いを持つ仲間たちと議論し切磋琢磨できる場所に行くことができれば,才能を伸ばし,何かを実現できるかもしれない。

あわよくば,その場所に,すでに一流の画家となった先輩がいればベスト。

その先輩をロールモデルとし,言動・履歴をトレースすれば,成功の確率が上昇する。

パリにおけるそんな場所こそがカフェである。

藤田もボーヴォワールもピカソもカフェで育った。

パリの(モンパルナスやモンマルトルの)カフェに当たる場所は日本にあるだろうか?

幕末維新で言えば,松下村塾や適塾か? 漫画の世界で言えばトキワ荘か?

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2023.05.05

高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』

――「とんでもないことになった……」

つい最近まで首狩りをしていて,裸で入れ墨,ビルマ政府とインド政府両方を相手に戦っているばかりか,内輪もめで殺し合いに励み,客に犬肉を出す……それしか情報がないゲリラに「ちょっとインドへ行きたいんだけど,助けてくれませんか」と頼むしかないという。

もうむちゃくちゃである。いや,ナガ人がどうのではなく,私の状況がむちゃくちゃなのだ――(高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』300~301頁)

 

高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』を読み終えた。

シルクロードと言えば,長安(西安)から中央アジアを抜けてヨーロッパに向かう北方ルートが有名である。そうでなければ,中国沿岸部から東南アジア,インド,アラビア半島など各地の港を経てヨーロッパに向かう海上交易ルート「海のシルクロード」を挙げることができる。

しかし,ここに出てくるのはそれらとは異なり,四川省からミャンマー北部を経由しインドに至るという幻の交易ルート「西南シルクロード」である。

近代以降,このルートを踏破した者はほとんどいない。それをやって見せようというのが,2002年当時36歳だった著者・高野秀行である。

成都から南西方向に進み,ミャンマー・カチン州,インド・ナガランド州を経てコルカタに至る4か月の旅。密林地帯を抜けるためにはカチン軍やナガ軍といった反政府勢力の協力が欠かせず,必然的に密入国という手段を使わざるを得なかった。

大雨や強烈な日射の下,山川を踏破していくのはとても大変。ときに深刻になりながらも,冗談を交えながらいつもの高野節で饒舌に苦難の旅路を描いていく。

北方シルクロードおよび海のシルクロードには「出発点から到着点まで同じ隊商,あるいは同じ船が荷物を運んでいく」というイメージがある。これらの交易ルートと異なり,西南シルクロードは,諸民族がリレーで交易品を運ぶ交易ルートである。そうでないと交易品は道無きジャングルを越えて移動することができない。

成都からコルカタまで踏破した経験を踏まえ,著者は最終的に,西南シルクロードは「道」というよりも「人的ネットワーク」であるという結論に至った。

そしてまた,著者自身もまたカチン人やナガ人といった密林に住む人々によって運ばれる交易品「高野秀行」であることを悟った。

非常にうまいまとめ方だ。ノンフィクションだが詩情がある。

 

本書はもともと2003年2月に単行本として出版された。そして7年後に講談社文庫に入った。文庫版には苦楽を共にしたカチンやナガの人々の後日譚が収められているが,それを読むと諸行無常という気がしてくる。

 

この本の文庫版が上梓されたのは,ミャンマーが民主化する機運が高まっていた頃だった。そして2010年11月には新憲法にもとづく総選挙が実施され,アウン・サン・スー・チーの自宅軟禁も解かれた。翌2011年にはテイン・セインが大統領に就任し,ミャンマーは民政移管を果たした。

だが,2021年2月にクーデターが発生。ミャンマーはまた軍政下に置かれることとなった。ここでもまた諸行無常の感を強くせざるを得ない。

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