濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』観てきた
YCAMで濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』を観てきた。
妻を喪った中年俳優と故郷を失った若い女性運転手の交流という,村上春樹の同名の短編の枠組みを用いつつ,「シェエラザード」のエピソードや監督オリジナルのアイディアを加えた,かなり盛りだくさんの内容の長編映画。
西島秀俊の肉体美,風光明媚な瀬戸内海,免許取りたてとは思えぬ三浦透子の落ち着いた運転,チェーホフ『ワーニャ伯父さん』を巡る熱い演劇論,広島から北海道までの長距離ドライブ等々,見どころが満載で面白い。原作を読んだだけだと「こんな話だっけ!?」とびっくりすることばかりだ。
パートナーを真剣に愛しつつ,同時にパートナーを裏切る行為を続ける女性が出てくる……と思ったら,同じ監督の『寝ても覚めても』のヒロイン朝子(唐田えりか)がそうだった。濱口監督はそういう設定がお好みなのだろうか?
西島秀俊の演技はさすがなのだが,主人公・家福(かふく)ではなく西島秀俊本人にしか見えない。そのため,広島国際演劇祭で上演する『ワーニャ伯父さん』のオーディションや稽古風景のシーンが,西島秀俊を主役とするフェイクドキュメンタリーに見える。これはこれで『単騎,千里を走る』の健さんが麗江を訪れた場面のようで,面白かった。
広島の街並みや広島国際会議場など,馴染みのある景色が出てくるのもフェイクドキュメンタリー風で面白かった(ロケ地についてはここをご参照)。
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