ブルース・シュルマン"The Seventies"|1970年代アメリカサブカル史
NHKでここ数か月,「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」という面白いドキュメンタリーが放送されている。
そこに出てくるボストン大学の現代史の先生,ブルース・シュルマン(Bruce J. Schulman)の話が面白いので,この先生の本"THE SEVENTIES: The Great Shift In American Culture, Society, And Politics"を買って拾い読みしている。
映画やテレビ番組や音楽など,身近なサブカルチャーを題材に,1970年代の政治や社会を描き出すというのがこの本のスタイル。「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」の語り口はこのスタイルを踏襲していると言って良いだろう。
1970年代を象徴する映画としてジョン・トラボルタの出世作『サタデー・ナイト・フィーバー』(ジョン・バダム監督,1977年)が取り上げられているが,次のように,この映画の持つ表裏両面の意味が語られていて面白い:
"A white-suited Travolta, right hand awkwardly pointed over head in disco dance, became the archetypal image of 1970s America -- a graphic depiction of its polyester fakery, its senseless hedonism, its supposed cultural bankruptcy." (p. 144)
"But the film itself essayed a far more serious, and darker, portrait of American life in the era of malaise." (p. 144)
主人公が家庭や仕事場の閉塞感から脱出する唯一の方法は,嘘くさくともキラキラしたディスコ空間に身を投じることだったわけである。
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