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2022.04.29

田村隆一編『日本の名随筆 酒』を読む

田村隆一編『日本の名随筆 酒』を読み終わったところだが,昭和の人々が酒についていろいろと述べているのが面白かった。

例えば,堀口大學は日本酒を愛飲する割に,日本酒についてこんなことを言っている:

「さて日本酒だが,これは世界で一ばんうまくない酒の一つかもしれない。その証拠には,他の酒は大ていいつ飲んでもうまいが,日本酒だけは,空腹の時でないとうまくない。これをうまく飲むのには,厳しい摂生が必要だ。僕なぞも,晩酌の義務を楽しく果たすために,午後からは,お茶ものまなければ,菓子も食わない。すべてひぐれ時の空腹を完全なものにするためだ。これで初めて,日本酒が快く頂戴できる。」

日本酒に限らず,どの酒もお腹が空いているときに飲むとうまいと思うのだが,どうですかね。

また,吉田健一は酒についてこんなことを言っている:

「酒というものが一般に自分で作られた所から離れるのを好まないものなので…」

酒は生まれたその土地で飲むのが一番,ということだが,そうかもしれない。

だとすれば,ワインを飲もうとすれば,ひょっとしたtら日本のワインを飲むのが良いのかもしれない。最近は日本のワイナリーも相当に発達してきたわけであるし。

ビールもクラフトビールか。

日本酒は当然,地酒。小生の住むまわりには,天美あり,東洋美人あり,雁木あり,三好あり,いろいろある。

この随筆集の編者である田村隆一の手になる「越の寒梅」という一編もなかなか味わい深い随筆だった。「越乃寒梅」を地元新潟で飲むというドキュメンタリー的随筆。先に述べたように,酒は生まれたその土地で飲むのが一番。酒蔵を訪ねる旅をしたくなる。

内田百閒先生がおからでシャンパンを飲んでいたということもこの随筆で知った。

今は無き「ゲイマー葡萄園」(参考1参考2)の話を沢木耕太郎が書いているが,これも良い随筆だった。

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