「情動エンジニアリング」について考える本
ロシアによるウクライナ侵攻に関しては第一線の識者がいろいろ解説しているので,ここでは直接の話題としては取り上げない。
しかしながらこの戦争,ソーシャルメディア上の戦いが主戦場の一つとなっている,という点は注目に値する。
ここで取り上げたいのが,「情動エンジニアリング」という言葉である。
ソーシャルメディアを使って,特定のゴールへと人々の心を動かす技術/工学のことである。
人々がソーシャルメディアに費やす時間が圧倒的に多い東南アジアを対象として,ソーシャルメディアが民主主義の進展および権威主義の強化のためにどのように使われているのかについてまとめた本,それが『ソーシャルメディア時代の東南アジア政治』である。
例えば,インドネシアでは,「普通の人」ジョコ・ウィドドがソーシャルメディアを通じて人々の共感を集め,大統領となった。そののち,今度はジョコウィ側が権力維持のためのツールとしてソーシャルメディアを駆使し,フェイクニュース等の手段で対立候補を貶めた。こういったサイバー戦の状況をコンパクトにわかりやすく伝えてくれるのが,この本である。
面白いと思うとともに,日常がすでに戦場化しているということに戦慄を覚えたりもする。
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