東南アジアの現代史はこれで:『はじめての東南アジア政治』
東南アジアの歴史について気軽に読める本としては,レイ・タン・コイ『東南アジア史』(文庫クセジュ)や『物語 シンガポールの歴史』(中公新書)や『物語 ビルマの歴史』(中公新書)のような各国史があるのだが,ここ数十年の東南アジアの歴史を半日で知りたい,と思ったら,この本が良い:
『はじめての東南アジア政治』(有斐閣ストゥディア)
東南アジア各国の政治を知るための第一歩として「マレーシア,シンガポール,ブルネイ」,「フィリピン」,「インドネシア,東ティモール」,「タイ」,「ミャンマー」,「ベトナム,ラオス,カンボジア」の計6章で各国の現代史を解説している。
各章20ページ前後にまとまっており,話題も絞ってあるので,とても読みやすい。ある国の現代史を要領よくまとめて記述する際のお手本のような文章だった。
とくに「ミャンマー」の章を読んだあとで,あの分厚い『物語 ビルマの歴史』を読み直したら,ビルマが独立以来宿痾のような課題を抱えていることが理解しやすくなった。
もちろん,第8章以降の比較政治,国際政治のトピックスも面白い。老生が興味深く読んだのは「第8章 国民国家建設」と「第14章 国境を超える人々」。
最終章の「日本と東南アジア」は必読。
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