「民藝の100年」を見てきた
休暇をとって,久々に東京に行った。そして東京国立近代美術館で開催中の「民藝の100年」を見てきた。
歳をとったせいか,こういう普段使いの中から生まれた工芸品に魅かれるようになってきた。
柳宗悦,濱田庄司,河井寛次郎,芹沢銈介といった人々は西洋文化の素養を身につけながらも,むしろ日本の日常生活の中に美を見出し,あらたなムーブメントを巻き起こした。それが民藝運動である。
この運動には陶芸家・バーナード・リーチや鳥取の耳鼻科医・吉田璋也といった人々も加わり,全国に根を下ろした。
なによりもすごいと思うのは息の長さ。グッドデザイン賞や無印良品など,現在まで脈々とその思想が受け継がれていることだ。「100年」とはそれを指している。
この展覧会では唯一,写真を撮影して良い場所がある。柳宗悦の書斎を再現したコーナーである。
こういう椅子に座って,日本各地から集めた工芸品を鑑賞し,文章を書く。
そんな真似をしてみたい,と思うわけだが,柳宗悦はこの書斎でじっとしていたわけではなく,仲間を引き連れて全国を回り,これはと思う工芸品を発見したり,新作の工芸品を企画・制作したりしていて,席を温める暇はなかったわけである。
総点数400点超,へとへとになるまで民芸品にどっぷりつかることになる。
見終わった後は渋い皿とか花瓶とか欲しくなる病にかかるので要注意。
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