スプートニクと詩人たち
1957年10月4日,ソビエト連邦が世界初の人工衛星,スプートニク (Спутник)1号を打ち上げた。そして翌11月3日にはライカという雌犬を乗せ,スプートニク 2号を打ち上げた。
世界はソビエトの科学力に驚嘆するとともに,人類の歴史が新しい段階に入ったことを知った。
スプートニク計画の成功は,詩人たちにも少なからず影響を及ぼした。
日本では宮柊二という歌人にいくつかの歌を作らせた:
光りつつ人工の星行く宇宙かの透明の暗黒世界 (宮柊二『多く夜の歌』所収)
ときをりに恐ろしきこと宇宙ゆくシベリア犬の旅行おもへば (同 上)
人工の星も「宗谷」も智識とし先ず生きん人を深く愛して (同 上)
そしてイタリアでは翌々年にノーベル文学賞を受賞するサルヴァトーレ・クァジーモドに「新しい月に」という詩を作らせた:
……
人間は,倦むことなく,
不敬の知恵を積み重ねて,
畏れもしらずに,十月の
晴れた夜空に,
同じような他の光を打ち上げた
創世の時以来回りつづける
あの光たちに似せて。アーメン。
(クァジーモド作,河島英昭訳,「新しい月に」)
ついに神の世界に踏み込んだという畏れと興奮とが伺える。
「とべ!人類」(by 尾瀬あきら)
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