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2021.04.12

Sergei Loznitsa | セルゲイ・ロズニツァ<群衆>ドキュメンタリー『国葬』と『アウステルリッツ』を見てきた

YCAMでセルゲイ・ロズニツァ (Sergei Loznitsa)の<群衆>ドキュメンタリー3作品を上映していた。

そのうち,『国葬』と『アウステルリッツ』を見てきた。

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『国葬』<<Государственные похороны>>は人類史上最大と言われる葬儀:スターリンの国葬の記録映像を編集したアーカイヴァル作品。『アウステルリッツ』はベルリン郊外の元強制収容所を訪れる観光客たちを観察するオブザベーショナル作品。

一方は歴史的一大行事に参加する群衆を、他方はダークツアリズムの一大拠点を訪れる群衆を映し出しているのだが、これらの群衆の姿は我々の自画像であると思った。一応、群衆は行事や施設の企画者・設計者の意図に従順に従っているのだが、細部を見ると一部の人々は置かれた状況にふさわしからぬ表情や行動を見せている。

『国葬』に限って言えば、スターリンの死に涙を見せる人々がいる一方で、ふとした拍子に笑顔を見せる者が映っていたりする。モーツァルトのレクイエムやショパンの葬送行進曲(ピアノソナタ第2番変ロ短調「葬送」)が流れる荘厳な雰囲気の中で、政府・党の高官たちがもたもたと段取り悪くスターリンの棺を運んでいたりする。

とはいえ、ソ連指導部とソ連国民の共同作業(協創というやつだ)によって、世界最大のショーが生み出されていくというのはすごい。モスクワだけでなく,バクー油田,キルギスの山のふもと,シベリアの片隅で,画面を埋め尽くすほど大勢の人々がスターリンの死を悼む。

葬儀の中心にいたマレンコフとベリヤは、葬儀後に展開される暗闘の中で失脚していくのだが、この映画の中ではその予兆は全く見られない。

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