英語発達史|英語前史
青銅器時代,ヨーロッパ大陸からケルト人たちがブリテン諸島に渡ってきた。彼らは自らのことをブリトン (Briton)と呼んだ。英国のこと,英国の島々のことをブリテン (Britain)と呼ぶ,その語源である。
ブリトン人たちの言語,つまりケルト語の痕跡は英語自体にはあまり残っていないが,地名や河川名にはいくつか残っている。
例えば,London, Dover, Kent, Thames, Exe, Wye, Avonなど。
ケルトの影響が一掃されるきっかけの一つが,西暦43年のローマ帝国・クラディウス帝によるブリタンニア征服である。以後およそ4世紀近く,この島の南部(イングランドやウェールズ)ではラテン語をベースにケルト発音の味付けをしたハイブリッド言語が話されていたと考えられる。
ローマ帝国の衰亡とそのあとに続くユトランド半島からの大量移民が無ければ,ブリテン諸島では。フランスやスペインと同じように,ロマンス系言語の発達プロセスが見られたかもしれない。
しかし,そうはならなかった。
<参考図書>
メルヴィン・ブラッグ『英語の冒険』(三川基好訳,講談社学術文庫,2008年)
Simon Winchester "The Meaning of Everything: The Story of the Oxford English Dictionary" (Oxford University Press, 2003年)
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