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2021.03.30

英語発達史|中英語 (Middle English) その1

ノルマン・コンクエスト

10世紀ごろ,ロロという大男に率いられたヴァイキングの一派がフランス北西部コタンタン半島周辺に定着した。彼らをノルマン人と呼ぶ。

ロロはフランス王から公爵の位を授かった。ロロの子孫はノルマンディー公,ノルマン人たちの土地はノルマンディー公国と呼ばれるようになった。

Rollon Falaise (Calvados)

↑ロロの銅像

 

ノルマンディー公の一族,ようするにノルマンディー家はイングランドのウェセックス家と婚姻関係を結び,デーン人からの攻撃に苦しむウェセックス家を支援した。

このノルマンディー家とウェセックス家の同盟・縁戚関係がイングランドにとって裏目に出るのが11世紀半ばのことである。

BayeuxTapestry39

↑ブリテン島に続々と上陸するノルマン軍

 

1066年,ノルマンディー公ギョームがイングランド王位の継承を要求し,海を越えてブリテン島に攻め込んだ。

イングランド(ウェセックス家)側は敗れ,ギョームはウィリアム1世として即位した。ギョーム (Guillaume) の英語読みがウィリアム (William) である。その王朝をノルマン朝と呼ぶ。

Bayeux Tapestry WillelmDux

↑ギョーム(ウィリアム1世)の一行

イングランド貴族は一掃され,フランスからやってきたノルマン貴族が支配層となった。これがノルマン・コンクエストである。

 

宮廷や行政機関の言葉はフランス語(ノルマン語)になり,英語は300年間公式の場から消えた。

英語史では英語は2度,消滅の危機に見舞われているという。1度目はデーン人の襲来,2度目がこのノルマン・コンクエストである。2度目の方が厳しいように思われる。なにしろ,支配層はフランス語しか話さないし,推計10,000語以上のフランス語(ノルマン語)がイングランドに持ち込まれたのだから。

 

だが,表舞台から消えたのにもかかわらず,英語は被支配層の間で使用され続け,しかも後の世界展開に繋がる,目覚ましい文法的変化を続けていた。古英語から中英語への変化もしくは進化である。

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