16世紀のエルゼビア
エルゼビア(Elsevier)と言えば,オランダに本拠を置く世界最大級の学術図書出版社である。1880年に創立された。
エルゼビアという名は,かつて存在した有名な出版社の名前を引き継いだものである。新旧2つのエルゼビアがあるわけである。
ピーター・バーク『知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか』の248,285,288頁には,この旧エルゼビアが「エルセヴィル」という名で登場する。
同書で言うところの「エルセヴィル」は16世紀,Lodewijk Elzevirによってオランダ共和国のライデンに設立された出版社である。1583年に最初の本を出版,そしてLodewijkの子孫によって,1791年まで続いた。オランダのみならず,ヨーロッパを代表的する印刷業者だった。
16~17世紀,オランダ共和国はヨーロッパにおける印刷業の中心地であった。なぜ,そうなったのかと言えば,オランダ共和国が宗教に寛容な国であるとともに,世界各地と貿易を行う通商国家だったからである。
宗教に関して寛容な商人たちの共和国にはヨーロッパ中からマイノリティーが集まり,それぞれの言葉で情報を発信した。さらに貿易を通じて東アジアからの情報が到来した。莫大な量の情報が本としてまとめられ,様々な言語で出版された。
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