『知識の社会史』道半ば
久々の更新。
年が明けて以来,何かと忙しくて読書が進まないのだが,ピーター・バーク『知識の社会史―知と情報はいかにして商品化したか』というのを読んでいる。
この本,莫大な量の固有名詞が登場してとても覚えきれない(何ページか読み進めると忘れてしまう)のだが(『黒死館殺人事件』とか『さかしま』を読んでいるような気分),ところどころ面白いエピソードや考察が現れる。
例えば,
- 印刷術がもたらした重要な結果の一つに,知識人の就職機会の拡大がある,という話や
- ルネサンス期においては,大学は古色蒼然たる知識の集積所に過ぎず,新しい知識は大学外の「アカデミー」において発達した,という話や
- カリキュラムとは,伝統的な陸上競技からとられたメタファーであり,陸上競技のコースと同じく,生徒がそれに沿って走らなければならない道筋のことである,という話
などである。
ネットの発達はきっと印刷術の発達と同等のインパクトをもたらしており,知識の新しい在り方,大学に変わる組織の誕生,学問体系の再編などにつながっていくのだろうな,というのが途中まで読みながらなんとなく思ったこと。
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