高浜寛『蝶のみちゆき』を読む
山口のヴィレヴァンに行ったところ、高浜寛の著作が並んでいた。
リイド社のサイト「トーチ」で前々から気になっていた作家だ。
幕末から明治にかけての長崎丸山を舞台にした漫画『蝶のみちゆき』を買った。
主人公の静謐な悲しみを巧みに伝える画筆。
この作者が凄いと思うのは、人物の容貌が年月を経て変わっていく様子をきちんと描いていること。
若かった頃の几帳、太夫として全盛期を迎えた几帳、そして明治に入り年季明けの迫る頃の几帳。
そして禿時代のたまおと看板女郎として名を馳せるようになったたまお。
比較的シンプルな描線でありながら、登場人物の顔や佇まいに年月の経過が現れている。
もちろん、よく計算されたストーリー展開や台詞回しも素晴らしい。
何度でも読み直すべき傑作。
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