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2020.09.15

劉慈欣『三体II 黒暗森林』を読む

劉慈欣『三体』にハマっていたら,ツマが『三体Ⅱ 黒暗森林』(上・下)を買ってくれた。ここ数日間読みふけり,読了したところである。

ものすごく短く言うと『三体』は,

文化大革命が恒星間戦争を引き起こす

という話だ。

そして,『三体II』は,

450年後に襲来する敵を迎撃するため,選抜された4人の面壁者(ウォールフェイサー)による策謀が張り巡らされる

という話だ。

敵・三体人は超絶的なテクノロジーを誇っているものの,唯一の弱点を持つ。嘘がつけない,嘘を見抜くのが苦手ということである。

三体人は地球に「智子(ソフォン)」という陽子サイズのコンピュータを送り込んでおり,地球上の通信,会話,文献などを常に監視している。だが,地球人の思考までは見通せない。

そこで,地球側は考えていることを明らかにしない4人の面壁者を選び出し,それぞれに対し,地球防衛の作戦を練り上げさせ,その意図が分からないように実行をさせる。

『三体II』の大部分はそうした頭脳戦で占められる。

4人の面壁者のうち,羅輯(ルオ・ジー)のみ,理想の恋人を探し出してもらって,一緒にルーブル美術館に行ったり,素晴らしい景色の別荘地で理想の家庭を持ったりして,まともに働いていないようだが,三体人たちはこの人を最も恐れている。まあ,何を考えているのか最もわかりにくいから。

女性の造形の甘いことや面壁者の選抜過程がわからないことなど,難点はいろいろあるものの,『三体』と同じく読むのを止められない面白い小説である。

地球を救うのは羅輯なのか他の3人なのか,そしてそもそも地球は救われるのか。最後の最後までわからない。

著者・劉慈欣こそが面壁者だという指摘が下巻の帯に書いてあったが,その通りだと思う。

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