« 「神は細部に宿る」と『山を渡る』を読みながら思った | トップページ | ヒマラヤイエティ考(四) イエティに対する学術的態度 »

2020.02.02

【三多摩大学山岳部の本棚】『K2 非情の頂』と『垂直の記憶』

山を渡る -三多摩大岳部録』の1巻9頁目に三多摩大学山岳部の部室の本棚が出ている。そこにあった本のうち,一番右の2冊はうちの家の本棚にも同じように鎮座している。

それらは『K2 非情の頂―5人の女性サミッターの生と死』と『垂直の記憶―岩と雪の7章』の2冊である。

Img_3520

垂直の記憶―岩と雪の7章』の方は,あの山野井泰史氏によるヒマラヤ高峰のクライミング記録である。約10年前に本ブログで取り上げたギャチュンカン(7952メートル)北壁の過酷なクライミング(参考)のことも書かれている。

2002年秋,ギャチュンカン北壁に挑戦した山野井泰史・妙子夫妻は生還を果たしたものの,凍傷によって手足の指を多く失うこととなった。

「まっ黒に炭化した手足の指。左手が小指と薬指,右手は小指と薬指,中指。右足は全部の指が黒くミイラ化している。数週間後には僕の人生でもっとも重要なものが切断されることになる。」(『垂直の記憶』「第7章 生還」,203頁)

もちろん,本書に書かれているのは悲壮な登山の記録だけではなく,チョ・オユーやレディーズ・フィンガーやK2への登頂を果たした時の達成感,充実感も記されている。

全7章を通して読むことによって,このクライマーがなぜ山を愛し,なぜ指を失った今も登り続けているのか,ということがわかってくる。

本書は今やヤマケイ文庫に入っており,より手軽に読めるようになった。

 

|

« 「神は細部に宿る」と『山を渡る』を読みながら思った | トップページ | ヒマラヤイエティ考(四) イエティに対する学術的態度 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「神は細部に宿る」と『山を渡る』を読みながら思った | トップページ | ヒマラヤイエティ考(四) イエティに対する学術的態度 »