「世界観戦争」「絶滅戦争」の本質を描いたSF2作
大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)が伝える最も重要なことは,独ソ戦とは「世界観戦争」であり,世界観を共有しない相手を完全に滅ぼす「絶滅戦争」だということだ。
「世界観戦争」「絶滅戦争」の本質を見事に描いた作品として小生が思い出すのは,ノンフィクションではなく,2つのSF作品である。
それは,バリントン・ベイリー『時間衝突』(創元SF文庫)とノーマン・スピンラッド『鉄の夢』(ハヤカワ文庫SF)の2つだ。
優れた遺伝子を持つ指導者とその組織が人類を導く。近縁人類に対する徹底した弾圧。そして,世界観を異にするミュータントないし異界人を絶滅させるための戦争。
『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』を読んでいる間,独ソ戦の情景とこの2つのSF作品が重なり合って見えた。
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