セレブたちの社会活動の興隆は,政治とメディアの信頼失墜を反映
ガーディアン紙のコラムにプリヤンカー・チョープラーが取り上げられていたので,何事かと思って読んでみたら,なかなか面白かった。
Priyanka Chopra’s row over Kashmir shows all the problems with celebrity activism (by Arwa Mahdawi, the Guardian, Tue 13 Aug 2019 11.40 BST)
このコラムの冒頭は,ビューティーフェスティバルで起こったプリヤンカー・チョープラーとファン(パキスタン系アメリカ人女性)の間の口論から始まる。
どういう口論かというとこんな感じである:
- 以前,プリヤンカーがカシミール問題に関連してインド支持を表明していた
- このことを引き合いに出して,パキスタン系の若い女性が「あなた(プリヤンカー)はユニセフ親善大使なのに,パキスタンとの核戦争をあおるのか」と非難した
- これに対してプリヤンカーが「戦争は好きじゃないけど,私は愛国者だ」と凡庸に答えた
- ネットでこのやり取りが拡散して話題になった。
プリヤンカーの発言について批評を加えることはこのコラムの目的ではない。
大事なのは,近年,セレブたちの政治的言動/社会活動(celebrity activism)が大いに盛り上がっているということだ。ディカプリオが地球温暖化防止に取り組んだり,キム・カーダシアンが元囚人たちの就職についてホワイトハウスで議論したり。
このコラムを書いたArwa Mahdawiが言いたいのはこういうことだ:
"The more interesting point to ponder is how the rise of celebrity activism mirrors a decline in trust for traditional institutions such as the government and the media."
セレブたちの政治的言動が大いに盛り上がっているのは,政治やメディアといった伝統的な組織の信頼が失墜していることを反映しているのではないか。これについて熟考するべきだというのである。
この世界はパーソナルブランディングに長けた人々に左右されるようになってきた。倫理的に破綻したテレビの人気者が選挙で選ばれる。メディアはトンデモ発言を拡大流布し,人々はトンデモ人間に注目しすぎる。そんな世の中に生きているんだ,ということを述べてArwa Mahdawiはコラムを締めくくる。
| 固定リンク
「映画・テレビ・芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 『アンデス、ふたりぼっち』を観てきた(2023.06.17)
- YCAMでショートフィルムフェスティバル(2023.02.13)
- 日本のドラマ「Mother」のスペイン語版リメイク作品が大ヒットとの情報(2022.11.23)
- 『神々の山嶺』観てきた(2022.08.20)
- 濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』観てきた(2022.08.07)
コメント