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2019.04.26

名著『悪文』を読む

岩渕悦太郎編著『悪文』という素晴らしい文章読本がある。

様々な悪文を取り上げて、どこがいけないのかを検討し、日本語で文章を書くときの注意点を明らかにするという本である。

1960年に初版が出て、未だに版を重ねているのだからすごいものである。

 

なぜ今、この本を本棚から引っ張り出してきたかというと、実際に悪文に悩まされているからである。そのものをここに掲載するわけにはいかないが、こんな感じの文章である。

20世紀も後半になると顧客の要望を重視した商品開発が重要になる。つまり、不確実性の時代における共創型のものづくりの重要性である。

重視、重要、重要性と似た言葉の羅列も気になるが、「つまり」の前後の文が対応していないのがより大きな問題である。「顧客の要望を重視した」という語句と「不確実性の時代における共創型の」という語句は同じ意味でもないし、包含関係があるわけでもない。「商品開発」と「ものづくり」との関係もまた同様。

「つまり」という言葉によって2つの文章が形式的には接続されているものの、実は両者の間には大きな論理の飛躍があるわけである。両者のギャップを埋めるのは容易い仕事ではない。

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