海上花列伝|第五十一回から第五十五回のあらすじ
引き続き,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第五十一回から第五十五回のあらすじをメモしておく。
第五十一回
胸中の塊(もやもや)穢史に牢騷(ふまん)を寄せ
眼下の釘 小蛮(うたひめ)寵眷(ちょうあい)を争う
尹痴鴛は凝りに凝った奇怪な文章『穢史外編(あいしがいへん)』を披露し,老旗昌の芸館に集まった一同から絶賛される。
孫素蘭は斉韻叟の庇護を受け一笠園へと逃れる
第五十二回
小児女 独宿して空房に怯れ
賢主賓 長談して共榻に邀(むか)う
孫素蘭は斉韻叟お抱えの歌姫たち,琪官と瑤官と仲良くなり,義姉妹の契りを結ぶことにする。
第五十三回
強いて捩合(ねじあわ)す連枝姉妹の花
乍(たちま)ち驚き飛ぶ比翼雌雄の鳥
朱藹人は斉韻叟や陶雲甫らと結託し,密かに弟・淑人と杭州の大富豪・黎篆鴻の娘との縁談を進める。
孫素蘭・琪官・瑤官が義姉妹の契りを結んだことを知った斉韻叟は,三人だけではなく,一笠園に来ている他の芸者たちも含めて義姉妹となることを勧め,自ら儀式を取り仕切ることにする。
第五十四回
負心郎(うらぎりおとこ)は模■(あいまい)に眷属を聯び
失足婦(よろめきおんな)を鞭簾(むちうち)て綱常を整う
朱淑人は斉韻叟から縁談の話を聞かされ,周双玉のことをどうしようかと悩む
8月26日,周双玉の女中・阿珠のもとに,沈小紅の女中・阿金大がやってくる。阿金大は沈小紅のところを辞め,再就職を考えている。阿珠は王蓮生が女中を探していることを思い出し,阿金大とともに王蓮生の屋敷を訪ねる。すると,屋敷の二階では蓮生が張蕙貞を打ち据えていた。
とても再就職の相談を切り出せる状況ではないと考えた阿珠と阿金大は四馬路の茶館・華衆会に行く。そこで阿珠と阿金大は趙樸斎に出会う。樸斎は張秀英が女中を探していることを知っていたので,阿金大を秀英に紹介することを約束する。
第五十五回
婚約を訂(むす)び 即席(そのばで)意彷徨(ためらう)
私情を掩(おお)い 同房(いあわせて)顔忸怩
趙樸斎は帰宅し,女中の阿巧といちゃつく。
8月28日夕刻,史三公子が趙二宝を伴って趙家を訪れる。三公子は南京に帰るという。三公子は二宝に,必ず上海に戻り二宝を妻として迎えると誓う。三公子は嫁入りの支度金として1000ドルの手形を洪氏(樸斎・二宝の母)に渡そうとするが,二宝は見栄を張って謝絶する。
三公子は帰郷。樸斎は家にいても仕方が無いので,夏余慶(斉韻叟の家の大総管=執事頭),華忠(孫素蘭の旦那・華鉄眉の執事)らと遊んでばかり。ある日,余慶の発案で三人は居安里の遊女,潘三のところに行く。
潘三宅には先客がいたが,余慶らはかまわず滞在する。そこに徐茂栄というごろつきが現れる。茂栄は余慶の弟分。茂栄は以前(第十七回)樸斎をボコボコにした男だったが,樸斎も茂栄も互いに初めて会ったようなふりをする。
ということで,頼公子から逃れた孫素蘭は琪官・瑤官といった歌姫たちと仲良くなる。災い転じて福。朱淑人は黎篆鴻の娘と結婚することになった。周双玉との仲はどうなるのか?三公子は帰郷。趙二宝は玉の輿に乗ることができるのか?
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