山尾三省『ネパール巡礼日記』を少しずつ
今年もカトマンドゥに行く予定である。何か関連しそうな本を・・・ということで山尾三省『ネパール巡礼日記』(野草社)を少しずつ読んでいるところである。『海上花列伝』もまだ途中なんだけど。
著者はカトマンドゥの随所に美しさを見出しているのだが,短期滞在を繰り返すだけの小生はそこまで至っていない。
そこで思い出したのが,多田等観『チベット』 (岩波新書)である。
同書第2章4節「西蔵人の見た西蔵」で,多田等観はこう書いている:
「現実の西蔵(チベット)は,満目蕭条たる無味乾燥の土地であって,これがそのまま観音の浄土とは到底信ぜられない。しかし,西蔵人によると,かように吾々が感ずるのは,凡夫の肉眼によるがためであって,真実に浄・不浄が認識できない結果である。」(『チベット』81頁)
そうそう。仏教とは心の在り様,認識の在り様に関する科学であった(参考「ワールポラ・ラーフラ『ブッダが説いたこと』を読む」)。
カトマンドゥに美を見出せないのは,あるいはカトマンドゥを観音浄土(まあ,ヒンドゥー教徒の方が多いんだけど)として見ることができないのは,小生が仏教徒として未熟であるからだと再認。
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