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2019.02.03

海上花列伝|第二十六回から第三十回のあらすじ

引き続き,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第二十六回から第三十回のあらすじをメモしておく。


第二十六回
真の本事(うでまえ) 耳際(みみもと)にて夜声を聞き
仮(にせ)の好人(おひとよし) 眉間に春色を動かす

慶雲里の芸者・馬桂生宅で荘荔甫,洪善卿,李鶴汀,施瑞生,張小村,呉松橋らが宴会。その後,張小村,呉松橋らが麻雀を始める。麻雀ができない施瑞生は宴会を辞し,西棋盤街・聚秀堂(陸秀林,陸秀宝の家)に帰る。

夜中の2時を過ぎて散会となり,荘荔甫は西棋盤街・聚秀堂に行く。荔甫が秀宝の部屋を覗くと,瑞生と秀宝が房事の真っ最中。その後,荔甫は陸秀林から瑞生と秀宝がお盛んであることを聞かされる。

翌日,陳小雲の執事,長福と李鶴汀の執事,匡二が街を歩いていると,李鶴汀の叔父・李実夫が娼婦の家に通っているのを見かける。


◆   ◆   ◆


第二十七回
歎場(たのしみのば)を攪(さわが)し 醉漢喉より吐空(はきつく)し
■冤(げつえん=病気)を證し 淫娼手燒炙(ひて)る

4月初旬,匡二から叔父・李実夫が娼婦・諸十全宅に通っていることを聞かされた李鶴汀は,匡二を連れて諸十全宅を訪れる。実夫と十全は不承不承,鶴汀に会う。

鶴汀が帰り際に十全の手をとると,手のひらが焼けるように熱い。なにやら大変な病気を持っているようである。

◆   ◆   ◆


第二十八回
局賭(ばくちば)風(うわさ)露(もれ)て巡丁(じゅんさ)屋(やね)に登り
郷親(くにのしんせき)色(かお)を削(つぶ)し嫖客車を拉(ひ)く

4月7日,周双珠宅で洪善卿主催の酒宴。王蓮生,葛仲英,姚季蓴,朱藹人,陳小雲,羅子富らが来宴。これに金巧珍(陳小雲の馴染み),黄翠鳳(羅子富の馴染み),林素芬(朱藹人の馴染み),呉雪香(葛仲英の馴染み),沈小紅(王蓮生の馴染み),衛霞仙(姚季蓴の馴染み)ら芸者衆も加わった。

宴会が盛り上がろうとしたところで,近所で賭博の手入れがあり大騒ぎに。

4月8日,金巧珍の姉貴分・金愛珍宅(東棋盤街・絵春堂)で酒宴が開かれることになり,洪善卿が人力車に乗ろうとする。すると,その車夫はなんんと郷里に帰ったはずの趙樸斎だった。善卿が樸斎に声をかけると,樸斎は空の人力車を引いて逃げて行ってしまった。

◆   ◆   ◆


第二十九回
間壁鄰居(かべどなり)兄を尋ねて伴(つれ)と結(な)り
過房親眷(えんつづき)妹を挈(つ)れて同じく遊ぶ

洪善卿は趙樸斎の母,洪氏に手紙を書く。手紙を受け取った樸斎の母・洪氏,妹・趙二宝は,樸斎を連れ戻すために上海に行くことにする。

この二人に樸斎の友・張小村の妹,秀英,同じく小村の弟,新弟,呉小橋の父・小大といったご近所仲間も加わり,五人で上海に旅立つ。

一行が上海に到着するとすぐに樸斎が見つかる。二宝は樸斎を連れて帰ろうとするが,秀英に引き留められて上海にしばし滞在する。そこで二宝はという金持ちと知り合いになる。


◆   ◆   ◆


第三十回
新住家(住人)客棧(やど)に相■(ボーイ)を用い
老司務(職人)茶楼にて不肖を談(かた)る

施とは施瑞生のことで,張小村・秀英兄妹とは親戚であった。

施瑞生は趙二宝,張秀英,趙樸斎らを芝居見物に連れて行く。二宝・秀英は瑞生と歓談するが,樸斎は除け者。芝居には小柳児という人気俳優が出ていた。

瑞生は二宝・秀英らを買い物などに連れて行き,次第に二宝・秀英らは瑞生に篭絡されていく。とうとう,瑞生の説得で趙一家は上海・清和坊に居住することになる。


◆   ◆   ◆


というわけで,諸十全は重大な病気に罹っているようである。上海花柳界の魅力に取りつかれ,無一文となった趙樸斎を連れ戻そうと妹・二宝が母や女友達と上海を訪れるものの,木乃伊取りが木乃伊に。やたら人当たりの良い施瑞生に二宝・秀英がどうも騙されているような気配。

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