海上花列伝|第三十六回から第四十回のあらすじ
引き続き,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第三十六回から第四十回のあらすじをメモしておく。
第三十六回
絶世の奇情 打って嘉偶(よきつれ)となり
回天の神力 仰いで良医に仗(たよ)る
高亜白は診断の名人だという。陶玉甫は李漱芳を診てもらおうと,高亜白に願い出る。高亜白と親しくなった芸者・姚文君は玉甫・漱芳に同情し,漱芳を診るように亜白に勧める。
亜白が漱芳を診たところ,胸の病気だった。亜白が玉甫に「漱芳は秋分を過ぎたころには死を迎えるだろう」と密かに伝えたため,玉甫は茫然自失となる。
第三十七回
惨(みじめ)に刑を受け 高足枉(むな)しく師に投じ
強いて債を借り闊毛私(ひそか)に妓に狎る
趙二宝が売れっ子芸者となり,兄・趙樸斎も急に羽振りが良くなる。樸斎が久々に王阿二を訪ねると,王阿二から10ドル貸すように迫られる。
樸斎が帰宅すると,南京出身の貴公子・史天然(通称・三公子)が二宝の客として来訪していた。
第三十八回
史公館痴心好事を成し
山家園雅集良辰を慶(ことほ)ぐ
三公子は趙二宝を気に入り,六月には花嫁候補として屋敷(史公館)に迎え入れる。
趙二宝は実家に帰った折,母親の洪氏に,樸斎がみっともないから,史公館に来させないようにと注意する。
その樸斎ときたら召使の阿巧といちゃついていた。
七夕になり,元官僚の大富豪・斉韻叟の別荘・一笠園で宴会が開かれていた。三公子は二宝を連れて一笠園に行く。高亜白と姚文君も客として招かれていた。さらに葛仲英,陶雲甫,朱藹人といった名士や呉雪香,林素芬といった芸者衆も一笠園に集まる。
第三十九回
浮屠を造り 酒籌水閣に飛び
陬■(すうぎょう)を羨み 漁艇湖塘に斗(たたか)う
一笠園での七夕の宴は大盛り上がり。姚文君が一笠園の池「一笠湖」で小舟に乗って遊んでいると,高亜白がそれを追いかけていたずらをする。岸に戻った文君は怒って亜白を追いかけまわす。
夜になり,中庭で芝居が始まる。観客の中には張秀英がおり,久々に会った趙二宝と会話を交わす。
二宝が秀英に施瑞生の行方をたずねたところ,瑞生は袁三宝という芸者のところに通っているとの話。
第四十回
玩賞を縱にし 七夕鵲(かささぎ)橋を填(う)め
俳諧を善(よ)くし 一言雕(わし)箭(や)に貫(あた)る
一笠園での七夕の宴は仕掛け花火でクライマックスを迎える。客の一人,尹痴鴛は張秀英に興味を持ち,宴の翌日,仲間を連れて張秀英宅を訪ねる。
ということで,李漱芳が死ぬと知って陶玉甫は失望。趙二宝は玉の輿に乗れそうで我が世の春を謳歌中。だが,好事魔多し。要注意。
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