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2019.02.27

海上花列伝|第四十一回から第四十五回のあらすじ

引き続き,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第四十一回から第四十五回のあらすじをメモしておく。


第四十一回
繍閣を衝き悪語三画(小紅)を牽き
瑤觴(ようしょう)を佐(たす)け陳言四声を別つ

沈小紅は召使の阿珠と仲たがい。阿珠は小紅のもとを離れ,周双珠宅で働くことに。

朱淑人が恋わずらいにかかる。兄の朱藹人斉韻叟に相談。すると斉韻叟から一笠園で淑人を静養させるようにと勧められる。

一笠園で淑人が静養していると,そこに周双玉が現れる。実は韻叟と藹人が二人を結びつけようと取り計らったのである。


◆   ◆   ◆


第四十二回
鸞(らん)交を拆(さ)き 李漱芳世を棄て
鴒難を急(うれ)え 陶雲甫喪に臨む

肺を患っていた李漱芳が8月7日,ついに死去。先立たれた陶玉甫は憔悴。漱芳の妹分,浣芳もまた嘆き悲しむ。陶玉甫の兄,陶雲甫陳小雲らによって葬儀の準備は進められる。


◆   ◆   ◆


第四十三回
其の室に入れば 人は亡く物は在るを悲しみ
斯の言を信じて 死別に生還するを冀(ねが)う

8月9日,李漱芳の葬儀が始まった。空になった漱芳の部屋を見回して陶玉甫の悲しみはさらに増す。

翌日,漱芳の棺が墓地に納められると,妹分の浣芳は「姉が出てこられなくなる」と大騒ぎ。


◆   ◆   ◆


第四十四回
勢豪を賺(あざむ)く 牢籠(てくだ)の歌一曲
貪黷(たんとく=汚職)を征(こら)し 挾制(まきあげ)る価千金

陶雲甫は玉甫と李浣芳を連れて,馴染みの芸者・覃麗娟(tan2 li4 juan1)宅に行く。そこには高亜白,姚文君,尹痴鴛,張秀英もいた。雲甫は皆に李漱芳の葬儀の概略を話す。

姚文君は自宅で開催されている素人芝居に参加しなくてはいけないため,宴席を後にする。

文君が家に戻ると,乱暴者の頼公子が客として来ていた。文君は頼公子を適当にあしらうと,別の座敷へと出かける。

文君の芝居の観客の中には羅子富王蓮生もいた。二人は頼公子とその取り巻き連中の態度に呆れ,文君宅から退出する。

羅子富はなじみの黄翠鳳宅を訪ねるが,翠鳳は不在。翠鳳の女将である黄二姐は,翠鳳が独立する際の身請け金を子富にねだる。子富が1000ドル出すことにすると,黄二姐は大喜び。


◆   ◆   ◆


第四十五回
成局(とりひき)は忽ち翻(くつがえ)り 虔婆(やりて)は色を失い
傍観して不忿(おだやかならず)雛妓の争風(やきもち)

黄翠鳳が帰宅。翠鳳は羅子富が黄二姐に身請け金1000ドルを払うつもりだと聞いて怒り出し,それなら身請け金に加えて,自分のためにさらに3000ドル払うよう,子富に要求。

子富は怒り出して身請けの話は破談。黄二姐はがっかりして翠鳳と口論。

そのころ一笠園では斉韻叟,高亜白,尹痴鴛,朱藹人・淑人兄弟,陶雲甫・玉甫兄弟らの名士,姚文君,周双玉,張秀英,林素芬・翠芬姉妹,蘇冠香,覃麗娟ら芸者衆が集まって宴会を開いていた。

林翠芬は尹痴鴛が張秀英に気があることを知っていてやきもちを焼く。


◆   ◆   ◆


ということで,李漱芳を失った陶玉甫の落胆ぶり。その一方で,旦那衆と芸者衆のいざこざはいつも通り。頼公子という乱暴者登場で,これからどんな展開があるのか?

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