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2019.01.27

海上花列伝|第二十一回から第二十五回のあらすじ

これまでと同様に,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第二十一回から第二十五回のあらすじをメモしておく。


第二十一回
失物(うせもの)を問い 客を瞞(あざむ)き詐(いつわ)って籤を求め
帰期を限られ 妻を怕(おそれ)愉(ひそか)に酒を擺(ふるま)う

陶雲甫・玉甫兄弟,李実夫,李鶴汀,朱藹人らは大富豪・黎篆鴻を乗せた船の出向を見送る。

その後,李実夫は諸十全宅へ行くが,十全は何やら秘密を隠しているらしい。

李実夫は諸十全宅を出たところで姚季蓴,羅子富,王蓮生,朱藹人らにつかまり,姚季蓴の馴染みの芸者,衛霞仙宅で開催される酒宴に引き込まれる。

衛霞仙宅の酒宴が終わった後,羅子富は黄翠鳳宅に寄る。

◆   ◆   ◆


第二十二回
洋銭(かね)を借り 身を贖うこと初めて議(そうだん)定まり
物事(しなもの)を買うに 賭嘴(こうろん)して早くも和を傷つく

東合興里の芸者,呉雪香宅で,葛仲英,羅子富,王蓮生らが宴会。そこに黄翠鳳,張蕙貞らが呼ばれる。

呉雪香,黄翠鳳,張蕙貞らは簪などアクセサリー談義に花を咲かせる。葛仲英は呉雪香の簪を安物と言い,後で雪香に叱られる。


◆   ◆   ◆


第二十三回
外甥(おい)の女 背後の言を聴き来たり
家主婆(しゅふ)当場(そのば)で醜(態)を出し尽くす

衛霞仙宅に姚季蓴の妻が押し掛けてくる。霞仙は姚の妻と口論になるが,舌鋒鋭く姚の妻を撃退する。

張蕙貞宅では王蓮生と洪善卿が夕食をともにする。蕙貞は善卿に翡翠の装身具一式の購入を依頼する。


◆   ◆   ◆


第二十四回
祇(ただ)冤(うらみ)を招くことを怕(おそれ)同行(しょうばいなかま)相護り
自ら落魄に甘んじ 路(みち)を失うも 誰か悲しまん

王蓮生は張蕙貞に沈小紅の金遣いについて文句を言う。これに対し,蕙貞は小紅をかばい立てし,さらに蓮生に小紅を訪ねるよう勧める。

蓮生は小紅宅を訪ねるが,小紅は不機嫌。そこに洪善卿が現れ,小紅を宥める。

小紅宅を後にした蓮生と善卿は公陽里の周双珠宅を訪ねる。善卿は双珠から妹分の周双玉のわがままぶりについて聞かされる。

善卿が双珠宅を後にすると,突然,何者かに呼ばれる。それはなんとボロをまとった趙樸斎だった。樸斎は一文無しになっていた。善卿は樸斎の宿代を清算し,旅費を与えて郷里に帰すことにする。


◆   ◆   ◆


第二十五回
前事を翻(むしかえ)し 搶白(さかねじ)は更に情多く
後期(またのひ)を約し 落紅 誰か語を解せん

荘荔甫が西棋盤街・聚秀堂(陸秀林,陸秀宝の家)で宴会を開く。陳小雲,洪善卿らが招かれた。二人が聚秀堂に行くと,張小村,呉松橋らが居た。さらに李鶴汀や施瑞生といった客も現れる。施瑞生というのは陸秀宝のパトロンである。

聚秀堂には,さらに金巧珍(陳小雲の馴染み),周双珠,楊媛媛(李鶴汀の馴染み),孫素蘭(呉松橋の馴染み)といった芸者たちが続々とやってくる。

宴会終了後,陸秀宝は自分の部屋で施瑞生といちゃつく。


◆   ◆   ◆


というわけで,諸十全は李実夫に対して重大なことを隠しているようだし,沈小紅は金遣いが荒いし,陸秀宝は趙樸斎を無一文にした挙句,金持ちの施瑞生とよろしくやっているし,なんだかえらいことになってきた。

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