西川長夫『決定版 パリ五月革命 私論』
パリ五月革命(1968年)から51年目である。
当時,フランス政府給費留学生だった著者は,現場でパリ五月革命 (Mai 68) を体験し記録し思索した。
帰国後は,むしろ五月革命について語るのを控え,自らの中で体験と思索を熟成させていった。そして,2011年に『パリ五月革命 私論 転換点としての1968年』を平凡社新書の一冊として上梓した。
著者はその後2013年に死去するのだが,この遺著に夫人・西川祐子の付論「わたしたちの一人として」を加え,決定版として昨年2018年11月に出版されたのが,この『決定版 パリ五月革命 私論: 転換点としての1968年』 (平凡社ライブラリー)である。
パリ五月革命の評価は未だに定まらないのだが,著者から見ると,フランスにおけるこれまでの革命とは違う何かが含まれているようだ。著者は「まえがき」でこう述べる:
「彼らは革命を演じながらも,過去の諸革命とは異なる別のものを追及していたのではないだろうか。もし彼らが権力の奪取や政権交代などではなく,国家権力それ自体の否定と,資本や国家の原理とは異なる別の原理による再生を求めていたのであれば,そしてもし既成の政治綱領や既成の政治用語では彼らの革命を表現できないのであれば,彼らはパロディで革命を行う以外にはないだろう。パロディとしての革命,そこに五月革命の困難と魅力があると思う。」(西川長夫『決定版 パリ五月革命 私論』,14頁)
「パロディとしての革命」――おおっ。腑に落ちた。
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