海上花列伝|第十一回から第十五回のあらすじ
引き続き,太田辰夫訳『海上花列伝』(平凡社 中国古典文学大系 49,1969年)の第十一回から第十五回のあらすじをメモしておく。
第十一回
鐘を乱撞(らんだ)し 比舍(きんじょ)虚しく驚かされ
斎(うやうやしく)案(ぜん)を挙(ささ)げ 聯襟(あいむ) 厚き待(もてなし)を承(う)く
王蓮生が沈小紅をなだめていると,半鐘の音が鳴り響く。蓮生宅の近所,東棋盤街で火災が発生したらしい。蓮生は慌てて火災現場に向かう。途中で陳小雲に出会い,ともに蓮生宅に行く。蓮生宅は無事で火事も収まった。
陳小雲は翌日,同安里に住む馴染みの芸者,金巧雲を訪ねる。小雲は巧雲に誘われて巧雲の姉貴分,愛雲を訪ねる。
第十二回
冤家(かたき)に背(かく)れ 和事老(ちゅうさいにん)を拜煩(わずらわ)し
鬼戯(しばい)を装(う)ち 踏謠娘(さけのみのつま)を催転(よびもど)す
陳小雲は王蓮生に招待されて沈小紅宅に行く。小紅宅には王蓮生がおり,さらに洪善卿,羅子富が加わった。蓮生は小紅に隠れて善卿に張蕙貞への言付けを頼む。
洪善卿は張蕙貞宅を訪れ,蕙貞を励ましてからその家を辞する。そして公陽里の芸者,周双珠宅に一泊する。
翌日,洪善卿は双珠宅を出て景星銀楼に行く。王蓮生からの依頼で張蕙貞へのプレゼントとして指輪を買うためである。
善卿が景星銀楼を出ると,趙樸斎に出会った。善卿は樸斎が芸者の陸秀宝のために散財していることを知り,説教をする。
第十三回
挨城門(はんびらき)の陸秀宝 開宝(みずあげ)し
抬轎子(やおちょう)の周少和 並和(マージャン)す
趙樸斎と洪善卿は陸秀宝宅に行く。秀宝が樸斎に指輪をねだっているのを見た善卿は,樸斎に説教をする。「お前はカモにされているのだ」と。
樸斎は善卿と別れたあと,同郷の友人,呉松橋の勤め先を訪ねる。松橋は仕事を終えたあと,樸斎を連れて,芸者,孫素蘭宅に行く。そこに張小村も呼ばれて賭け麻雀が始まった。麻雀ができない樸斎は秀宝を呼ぶが,秀宝とけんかになってしまう。
第十四回
単(ひとり)は単を拆き単嫖(ひとりきゃく)は明(あきらか)に侮(あなどり)を受け
合(なかま)は合を上(くわ)え 合賭(なかまとばく)は暗に謀(はかりごと)を通ず
趙樸斎は陸秀宝が他の金持ち客と盛り上がっているのを知って落胆する。また張小村の就職が決まったことを知ってさらに気落ちする。
翌日,秀宝からの誘いを断り,樸斎は王阿二を訪ねる。樸斎は王阿二に慰められて気を取り直すが,他の客が来たのでその場を離れる。
その頃,張小村や呉松橋は樸斎を放置して,芸者,楊媛媛宅で麻雀に興じていた。
第十五回
屠明珠 公和里の局(ざしき)に出
李実夫 花雨楼に開灯す
芸者,蒋月琴宅では大富豪の黎篆鴻が李鶴汀,李実夫,朱藹人らを招いて宴会を開いていた。蒋月琴,孫素蘭,楊媛媛ら22人もの芸者が呼ばれ,その中には老芸者,屠明珠も加わっていた。
蒋月琴は朱藹人に,羅子富がここ3,4日現れないことや,黄翠鳳にのぼせていることを話す。
翌日,李実夫はアヘンを吸いに花雨楼に行く。そしてそこである野鶏(やち=娼婦)に目を奪われる。
ということで,同じ田舎から職を求めて上海に出てきた,趙樸斎,張小村,呉松橋のうち,趙樸斎だけが就職もできず,陸秀宝から巻き上げられるだけという転落プロセスに入ってしまう。
沈小紅と張蕙貞,蒋月琴と黄翠鳳,芸者たちの駆け引きも続く。どうするんだ王蓮生,そして羅子富。
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