枝優花『少女邂逅』を観た
先月のことだが,YCAMで弱冠24歳の監督・枝優花による『少女邂逅』を観た。
美しくも残酷な作品。
程度の違いこそあれ、少女たちはそれぞれ窒息しそうな現実から逃げ出そうと足掻いていた。
地方の女子高生たちはテストや地元から逃れたいと思う程度だったが、小原ミユリ(保紫萌香)の場合はより深刻で、いじめや嫌いな親から逃れたいと思っていた。
唯一の友達だった蚕の「紬」。ミユリはいじめっ子たちによって「紬」を捨てられてしまう。
打ちひしがれるミユリの前に現れたのが転校生・富田紬(モトーラ世理奈)だった。ミユリを全肯定する紬によってミユリの生活は好転していく。
蚕の化身によって少女が救われるファンタジー?
全く違う。
紬にもまた逃れたい秘密があった。生きながら煮殺されるような境遇から、ミユリとともに脱出したかったのだ。喫茶店コンパルでの沖縄旅行計画。紬が旅行を二人だけの秘密にしたかったのはなぜか?突如現れた父親にガイドブックを見せまいとしたのはなぜか?期末試験があるというのに沖縄行きを急いだのはなぜか?
ちりばめられた謎が一気に氷解するのが終盤、元いじめっ子がミユリに紬の死を告げる場面である。紬は父親に性的虐待を受けていたという。
紬の死が告げられた直後、ミユリの脳内で起こったフラッシュバックだろうか、ミユリと紬とが過ごした日々のスナップショットが次々に現れる。その最後に泣きながらクッションを振り回す紬の動画が現れる。ミユリが見たはずがない紬の姿だ。ミユリが想像で作り上げた動画かもしれないが、紬の父親が撮った動画かもしれない。そうだとするとこれはなんと残酷な映像であることか。
紬の足の傷口から飛び出した糸。それはミユリとの絆を象徴しているようにも、蚕ならぬ「蜘蛛の糸」のようにも見えた。それをミユリは断ち切ってしまった。行かなかった沖縄。救えなかった親友。ラストのリストカットはミユリが自らに与えた罰か?殺してしまった友情への墓碑銘か?
20代前半の女優陣,そしてほぼ同じ年頃の監督とが組んで作り上げた作品。若く鋭い感性に驚き,そして感銘を受けた。
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