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2018.10.21

結構エグい,西南戦争,熊本城の地雷戦

篠田仙果の『鹿児島戦争記――実録 西南戦争』第五編には西南戦争における一つのヤマ場,熊本城攻防戦が描かれている。

これまで知らなかったのだが,この戦いでは地雷が使用されたという。その描写が結構エグい。

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熊本城を守る官軍(司令官:谷干城少将)は,薩軍の到来を察知し,城外に地雷を埋めておいた。

そして,篠原国幹,西郷小平らが率いる薩軍が殺到するや,頃合いを見て,遠隔操作で地雷を起動,多数の薩摩士族を吹き飛ばした。その描写を引用しよう:

「大手京町口に仕かけたりし地雷火に気の通じけん,万山此所(ここ)に崩壊(くずるる)か,百雷一時に落るかと思うばかりの震動にて,大地たちまち破裂なし,黒煙起こって暗夜にひとしく,炎いち面に燃あがり,砂石八方へ散乱す。されば勇みにいさみたる暴徒およそ四,五十人,何以てたまるべけんや。胴躰ちぎれ多数となり,空中へ打上られ,たまたま命ある者も,手をもがれ足を砕き,身体は火脹れとなり,焔熱(しょうねつ)地獄の罪人もかくやと計(ばか)りおもわれたり。」(42頁)

あわれ薩摩士族。ある者は手足バラバラとなって空中に舞い,他の者は全身に大やけどを負ったという。

そんなことも名調子で書き進めていくんだから,江戸育ちの戯作者は恐ろしい。

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