周作人とどう付き合うか
丸川哲史『竹内好』(河出ブックス)を断続的に読んでいる。竹内好と周作人との関わりについて論じた第二章を読み終えた所である。
周作人は魯迅の実弟であり,日本語や英語にも通じた文学者であった。日中戦争中,汪精衛率いる親日政権に参与したため,戦後は対日協力者として断罪された。
日中戦争の顛末は,終戦後70年余り経った現在でも日中関係に影を落としており,今後も延々と日中戦争における事実関係ならびに思想的側面について問い直しを続けていかなくてはならないだろう。その問い直しの中で,周作人はキーパーソンの一人として重点的に研究されるべき存在である。
「周作人が現在に至るまで『対日協力者』として名指しされ続けていることは,つまり日本人にとって彼との『尽きることを知らぬ対話』が終わっていないこと,また現時点で終わる可能性がないということを意味していよう。戦争には,必ず戦後処理があらねばならない。そしてさらに戦争はまた,敵側への協力者という特殊な人間を生み出すのであった。その意味でも,『対日協力者』という特殊な身分にかかわる問いは,日本人の戦争責任の中にさらに深い思想的問いを遺したと言えよう。」(丸川哲史『竹内好』,73~74ページ)
今年になって,中島長文訳注の『周作人読書雑記』が平凡社東洋文庫から上梓された。周作人研究の好機到来と見るべきだろう。
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