ニーチェじゃない
「個人は,それだけで世界史である。そして残りの世界史は,その個人の所有物になる。」
「何,私は理念を実現するために,この世にいるというのか。……そんな召命で私をわずらわさないでくれ。花は召命を受けて,生長し,香りを立てるのではない。同様に私は召命を受けて人生を生きるのではない。」
「『私』は自分の支配力を所有している。そして自分をかけがえのない唯一のものだと認めているときこそ,『私』は自分の支配力の所有者なのである。」
「『私』が『私』の問題を唯一者としての私に提起するとき,その問題は無常な死すべき創造者,つまり自分自身を消尽していく私自身の問題となる。」
「そして『私』はこう言うことが許される。『私は自分の問題を無に提起した』と」
これらのニーチェのものかと思いまがう発言は,実はマクス・シュティルナーの『唯一者とその所有』からのもの。
ルドルフ・シュタイナー著・高橋巖訳『ニーチェ みずからの時代と闘う者』から孫引きしたQuotesである。
シュタイナーはシュティルナーとニーチェの立場の近さを指摘している。
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コメント
引用の三番目のワード「唯一」「所有」で気づきました。
そういえば「唯一者とその所有」長らく積読でした。そろそろ読もうかな…
投稿: 拾伍谷 | 2018.09.09 04:20
お見事。
『唯一者とその所有』まで持っているとは思いませんでした。
投稿: fukunan | 2018.09.11 18:22