寺院の質屋業に対する陸游からの批判
先日購入した,浅田泰三『中国質屋業史』(東方書店,1997年)を紐解いているところである。
先の記事でも書いたように,質業の起源は仏教寺院にある。
同書によれば,陸游が著書『老學庵筆記』の中で寺院の質業を批判したという。そこで該当箇所を「四庫全書・子部」に収められた『老學庵筆記』から探してみた。
巻六に該当箇所が見つかった:
「今僧寺輒作庫質錢取利謂之長生庫至為鄙惡予按梁甄彬嘗以束苧就長沙寺庫質錢後贖苧還於苧束中得金五兩送還之則此事亦已久矣庸僧所為古今一揆可設法嚴絶之也」(『老學庵筆記』巻六)
意訳してみた:
今の寺院はたやすく庫を作り,質屋業を営み,利を得る。これを長生庫という。いたって俗悪なものである。かつて梁の甄彬(けんひん)は苧麻(ちょま,麻の一種,カラムシ)を長沙寺に質入れし,後にこれを請け出した。すると,苧麻の中に金5両を発見した。甄彬はこれを長沙寺に返したという。この事例は寺院が質屋業を営んで既に久しいということを示している。凡庸な僧がなすことは過去も現在も同じである。法を設け,厳しく寺院の質屋業を禁ずるべきである。
だが,陸游の憂いも空しく,寺院の質業は栄え,元代にも続いていく。
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