国学スーパースター列伝
時枝誠記(ときえだ・もとき)の『国語学史』(岩波文庫)のことだが,章立てのアンバランスが凄い。
本文(中扉含む)全体で248ページあるのに対し,「第三期 明和安永期より江戸末期」の記述は90ページ,全体に占める割合が36%を越えている。
この時代は用字法と語法の研究において輝かしい発展があった時代で,音韻と活用の法則がまとめられた。
この時代に割かれたページの多さは,そのまま,この時代の国語学研究に対する時枝誠記の思い入れの強さを表していると言ってよいだろう。
いや実際,この時代に国語学に成果をもたらした国学者たちを並べてみると,綺羅星のようにまばゆい:
本居宣長の係り結び,留まり切れを中心とする「てにをは」研究,富士谷成章の語の接続の研究,そしてこれらを統合する鈴木朖。それを引き継いだ本居春庭による動詞活用研究の原型。そして義門による活用研究の集大成。
「第三期 明和安永期より江戸末期」の90ページは国学スーパースター列伝の様相を呈している。
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