デーバナーガリー文字表と五十音図(その1)
石井溥『基礎ネパール語』(大学書林)を紐解きながら,デーバナーガリー文字の練習をしているわけである。
デーバーナーガリー文字の並び方と日本語の仮名の五十音図との関係が見えてきて面白い。
まず,母音であるが,日本語では「あいうえお」が母音とされる。
そして,デーバナーガリー文字では伝統的に母音の仲間とされる /ri/ /rii/ /li/ /lii/の4文字も含めて,14文字が母音字とされている。
そして,デーバナーガリー文字の母音のうち,日本語の仮名では母音とされないものや一文字で表さないものを削って並べ治すと・・・
このように「あいうえお」となる。
実は,五十音表の仮名の順番は古代インド音声学の成果に基づいているのでこうなるのである。
「言語学の基礎」というウェブページで解説されている(「五十音図の謎」)のだが,要するに,
古代インド音声学→サンスクリット文字の配列→仏教伝来→五十音表の成立
という仏教受容の歴史的な流れの中で日本語の五十音図ができたのである。
一方,インドでは,
サンスクリット文字→デーバナーガリー文字
というようにデーバナーガリー文字がサンスクリット文字に取って代わった際に,並び順が継承された。
では,「あかさたな」の方はどうか? これについては次回説明する。
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