「週刊文春 3月29日 春の特大号」は「買い」です
週刊誌を買うことはめったにないのだが,今出ている「週刊文春 3月29日 春の特大号」は「買い」だ。
政治家の記事なんかはどうでも良い。
「たけしの独立」を取り上げた,水道橋博士による連載記事「週刊藝人春秋 Diary」,酒場詩人・吉田類への取材記事「新 家の履歴書」,村西とおるの応酬話法に哲学性を見出した,鹿島茂の「私の読書日記」,これらだけでも面白いが,何よりも大事なのは
『ゴンちゃん,またね』 (作・画 ビートたけし)
が一挙掲載されていることである。全国2000万人の愛犬家の袖を涙で濡らすこと間違いなしの傑作である。
細かいとこまで神経が行き届いた,それでいてユーモアたっぷりの文章は井上ひさしの『吉里吉里人』や『腹鼓記』を思い起こさせる。だが,物語の基調となっている寂寥感,そしてそこから生じる愛や思いやりの気持ちは全く異質のものだ。
作品の後に添えられた岸川真の文中には次のような,たけし本人の言葉が引用されている:
<あ,人間と犬は孤独で繋がるのか> 「こんな時代だし,大人のメルヘンがいいよね」
こんな素晴らしい作家(・映画監督・漫才師)と同じ時代に生きているのは凄いことだよ。
それにしても水道橋博士の「週刊藝人春秋 Diary」の直後に『ゴンちゃん,またね』を配したあたり,編集部の小憎らしいほどの演出。
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