航空宇宙軍史|第1次外惑星動乱は2099年6月に始まった
谷甲州『航空宇宙軍史・完全版一 カリスト-開戦前夜-/タナトス戦闘団』は,第1次外惑星動乱の前夜と開戦当時の状況を描いた作品である。第1次外惑星動乱とは,カリスト,ガニメデ,タイタンといった木星と土星の衛星に存在する国家の連合「外惑星連合」と地球=月連合および航空宇宙軍との間で起こった戦争である。開戦時期は2099年6月である。
なぜ,2099年6月に設定されたのか?
それは,本書の解説で吉田隆一が述べているように,木星と土星の距離が近くなっている時期にあたるからである。
一応,ネット上にある太陽系シミュレータ:
「太陽系の簡単なシミュレーション 鳳ソフト」
「太陽系の天体の位置- STUDIO KAMADA」
を使って木星と土星の位置を調べてみた。結果は下の通りである。
確かに,木星と土星の距離は短い。
これが例えば,2090年6月1日だったりしたら,どうなるか? その場合,木星と土星は太陽を挟んで反対側に位置することになり,とても迅速な連絡はできなくなる。
数値一つ一つに意味があるというのが,航空宇宙軍史の魅力である。
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