後発途上国とロボット化
生産拠点は労働力の安い国に移転していくというのはこれまでの歴史の示してきた経験則である。
アパレルの世界でいえば,韓国・台湾・香港→タイ・インドネシア・マレーシア→中国というように生産の中心地が移動してきた。今は中国からさらにバングラデシュやカンボジアへと拠点が移動しつつある。
その流れがどうも変わりそうである。原因はロボット技術の進展。
こういう記事:
「ロボット化進む縫製工場 勝者は米国、敗者は?」(The Wall Street Journal)
が出ているのだが,ロボット化によって,発展途上国,とくに後発途上国の人々が職を失うのではないかという恐れは前から出ていた。
数年前からハイテク分野でも米国における"リショア"が話題になっていた。
米国内でのコストが高いから,ということで,工場が米国から海外に移転,つまり"オフショア"していたのが,ロボット化によって流れが変わり始めたのである。テスラが電気自動車の生産のためにロボットをどんどん導入しているのは極端な例かもしれないが,象徴的ではある。
これまでは国際分業で,労働集約型産業は賃金の低い国に移動する,という仕組みができていたのだが,その時代は終わりそうである。
老生の予測では,多品種少量生産を低価格で実施できるようなマイクロファクトリーがいずれ登場する。そうすると,工業の「地産地消」化を図った方が国際分業よりもコスト安になる。先進国では,小さなローカルのコミュニティの中で物を作って消費するようになるわけである。
ロボット化によって新たな中世,工房の時代が始まるのではないかとある意味ワクワクしている。
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