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2017.12.24

YCAMで『DARK STAR H.R.ギーガーの世界』と『GOOD TIME』二本立て

本当にもう,どう言ったらいいのかと思うほど,YCAMのシネマ担当者のセレクションは素晴らしい。

この土曜日(天皇誕生日)の午後,YCAMで『DARK STAR H.R.ギーガーの世界』とジョシュ&ベニー・サフディ監督『GOOD TIME』を立て続けに見てきたのだが,実に良かった。

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◆   ◆   ◆


まず,『DARK STAR H.R.ギーガーの世界』(ベリンダ・サリン監督,2014年,スイス)について書いておこう。

『エイリアン』の造形でお馴染みのH.R.ギーガーの創作の裏側に迫るドキュメンタリーなのだが,おどろおどろしい作品群からは想像もつかないほど,ハートウォーミングな内容だった。『人生フルーツ』思い出したぐらい。異次元世界をこの世界に橋渡ししてしまう,ギーガーという稀有な天才は,現在の妻(カルメン・ギーガー),妻の母,元妻,元パートナー,両親等々,彼の才能を認める人々によって支えられている。

彼の秘書を務めているのは,エクストリーム・メタル・バンドのメンバー。音楽活動が認められなかった時代にギーガーの作品によって救われたという感謝の念を示していた。H.R.ギーガー美術館で開催されたサイン会には世界中からファン(メタル,パンク系の若者)が押し寄せ,サインをもらって泣き出すタトゥーだらけの男性もいたぐらい。ギーガーって本当に愛されているんだなーと観ているこっちまで嬉しくなった。

ギーガー本人や周囲の人々の証言を聞きながらギーガー作品を見ていると,闇だけでなく,光明やユーモアまで感じられてくるから不思議。

ギーガーにとっての人生最大の事件は,パートナーだったリー・トブラーを失ってしまったこと。ギーガー作品中の女性像はリーそのものであり,ギーガーに多大な影響を与えたことは確かである。ギーガーの作品世界に毒されたのかどうかわからないが,リーは精神を病み,1975年に自殺した。この事件はギーガーに深い傷を負わせた。だが,ギーガーはこの危機を乗り越え,作品を生み出し続けた。

73歳になり,気の置けないスタッフと食事を共にするギーガーは満足そうに見える。ギーガーはインタビューに対して「見たいものは見てきたし,やりたいことはやってきた。生まれ変わって人生を一からやり直すのはごめんだ」ということを言っていた。ショーペンハウアーのように満ち足りた晩年。羨ましい限りである。

追白 本作のあちこちに登場する愛猫ムギ(Muggi)はとてもかわいい。


◆   ◆   ◆


ジョシュ&ベニー・サフディ兄弟の『GOOD TIME』については次の記事で書く。これは天才的な作品。

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