元号の法的根拠/改元の法的根拠
先日からNHKで今上天皇退位に関する報道や特集番組が続いていて,なんだか明日にも平成時代が終了しそうな雰囲気を漂わせている。ちょっとフライング気味じゃないんですかね。
老生は昭和生まれなのだが,新天皇が即位して,元号が改まると,「二つ前の時代の生まれ」ということになる。それって,老生が明治生まれの方々を見る時の感覚と一緒。
言い直せば,新時代生まれの人々にとっての老生ら昭和生まれの人々は,昭和生まれの人々にとっての明治生まれの人々と同じポジションにいるわけである。諸行無常。
さて,そんな雑談を経て,本日の本題,「元号の法的根拠/改元の法的根拠」について述べてみる。
元号に法的根拠が与えられたのはそれほど古い話ではない。
昭和54(1979)年6月12日公布・施行の法律「元号法」によって,法的根拠が与えられたのである。
この法律は大変短く,本則2項,附則2項から成る。こんな感じ:
元号法
公布:昭和54年6月12日法律第43号
施行:昭和54年6月12日
- 元号は,政令で定める。
- 元号は,皇位の継承があつた場合に限り改める。
附則
- この法律は,公布の日から施行する。
- 昭和の元号は,本則第1項の規定に基づき定められたものとする。
戦前は旧皇室典範によって,元号は規定されていたのだが,戦後,皇室典範が改められた際にその条項が消えてしまった。そして,しばらくの間,昭和の元号の使用は法的根拠を持たない習慣的なものだったのだが,それじゃあ問題だということで,昭和54年に「元号法」ができたわけである。
ということで,「元号法」で「元号」に法的根拠が与えられたわけだが,今度は元号を改める際の法令が必要になる。
「元号法」第1項・第2項にあるように,改元は皇位継承時のみ行われ,その元号は政令によって定めることとなっているので,改元に関する政令が必要になる。
そこで登場するのが,「元号を改める政令」である。
その内容はこんな感じである:
元号を改める政令
公布:昭和64年1月7日政令第1号
施行:平成元年1月8日
内閣は,元号法(昭和五十四年法律第四十三号)第一項の規定に基づき,この政令を制定する。
元号を平成に改める。
附則
この政令は,公布の日の翌日から施行する。
以上
これは,昭和から平成への移行にあたって初めて現れた政令である。
今度,平成から次の時代に移るにあたっては,同様の「元号を改める政令」が公布・施行されることとなる。
次の元号は?
これが諸兄の最も気になることだろう。
「平成」に関しては,「平成」「修文」「正化」の3つから選ばれたということが,報道によって知られている。そしてまたよく言われるのが,頭文字がそれぞれ"H", "S", "S"で,昭和の"S"と被らない平成が選ばれたという話である。
次の元号に関しても同じパターンが踏襲されるとすると,明治・大正・昭和・平成の頭文字,"M", "T", "S", "H"に被らないものが選ばれることだろう。
ネットでは未来人が伝えたという元号「安始」が話題だが,この頭文字は"A"なので,条件は満たしている。「文選」か「易経」にでも根拠があるのかね,という疑問はあるが。
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