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2017.12.06

特許情報から見たPezy Computing社長の技術力

スパコン開発ベンチャーPEZY Computingのことがホットな話題になっているが,同社社長齊藤元章氏の技術力を特許情報から見てみた。

特許情報はおおよそ,「公開特許公報」と「特許公報」から拾い上げることができる(「再公表特許公報」というのもあるが,今回は省略)。

公開特許公報」は出願してから1年半経つと発明内容が公表されるものである。この時点では特許をとっているわけではない。

ご存知かと思うが,発明はそのままでは特許取得に至らない。発明して,出願して,審査を受けて後,特許が登録されるわけである。

特許が登録されたのちに公開されるのが,「特許公報」である。


さて,発明者をPEZY Computing社社長のお名前にして検索してみると,「公開特許公報」では47件の出願がヒットした:

公開特許公報掲載分

出願番号 出願日 名称
1993-212601 1993/8/27 カテーテルシステムの接続方法
1994-302608 1994/10/30 X線を利用した血管造影を中心とする立体撮影において、3次元(立体)的または4次元(時間軸を有した3次元)的情報の画像表示を行う方法
1998-074773 1998/2/18 コンピュータ断層装置
1998-090524 1998/3/2 コンピュータ断層装置
1999-126207 1999/3/30 コンピュータ断層装置
1999-130405 1999/4/2 三次元画像表示装置
1999-215690 1999/6/25 三次元画像表示装置
1999-215691 1999/6/25 三次元画像表示装置
1999-264278 1999/8/16 三次元画像表示装置
1999-311386 1999/9/28 三次元画像表示装置
1999-311387 1999/9/28 コンピュータ断層装置
1999-311388 1999/9/28 三次元画像表示装置
1999-311401 1999/9/28 インターネット上の個人保健医療情報信託サービスを核としたビジネスモデル
1999-315742 1999/10/1 三次元画像表示装置
2000-059572 2000/1/31 多層プロトコルを用いた医用画像情報システム
2000-140911 2000/4/6 三次元画像表示装置
2000-404063 2000/12/12 インターネット上の個人保健医療情報蓄積サービスと携帯型保健医療情報端末を核としたシステムおよびビジネスモデル
2001-171766 2001/5/2 ネットワーク環境における三次元画像表示装置
2001-220613 2001/6/18 コンピュータ断層装置
2001-220614 2001/6/18 画像データ圧縮装置
2001-318705 2001/9/11 ネットワーク環境におけるレポートシステム
2001-373389 2001/11/2 ネットワーク環境におけるレポートシステム
2001-398256 2001/11/22 ネットワーク環境におけるマルチプロセッサシステム
2002-115483 2002/3/14 画像処理とネットワーク配信を対話的に行うことを可能にしたX線CT装置
2002-132071 2002/4/1 ネットワーク環境におけるデータ蓄積・処理センター
2002-132072 2002/4/1 ネットワーク環境におけるCTデータ蓄積・処理センター
2002-218895 2002/6/25 医用画像複合観察装置
2002-315049 2002/9/25 コンピュータ読影支援システム
2002-361463 2002/11/11 医用画像複合観察装置
2002-383174 2002/12/12 X線CT装置の投影データから直接三次元画像を作成する三次元画像表示装置
2003-302028 2003/7/24 広域ネットワーク環境における電子カルテシステム
2004-139208 2004/4/7 広域ネットワーク環境における医用画像処理システム
2005-138250 2005/5/11 情報システム
2005-149252 2005/5/23 ネットワーク環境における三次元画像表示装置
2005-149253 2005/5/23 ネットワーク環境におけるレポート作成システム
2005-185651 2005/5/31 圧縮された画像データを順次部分解凍しながら三次元画像を作成する三次元画像表示装置
2005-214298 2005/7/25 ネットワーク環境における三次元画像表示装置
2005-214299 2005/7/25 ネットワーク環境における三次元画像表示装置
2006-105747 2006/4/6 解析プロトコルに基づいた前処理装置を備える三次元画像表示装置
2007-256194 2007/9/28 解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置
2007-256193 2007/9/28 解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置と画像保管通信システムの連携システム
2007-256207 2007/9/28 解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置を相互接続した医用画像解析システム
2008-276600 2008/10/28 ネットワーク環境における医用画像処理システム
2011-148293 2011/7/4 金属基材の防食塗装方法
2012-206252 2012/9/19 断層撮影装置
2014-170616 2014/8/25 電子機器の冷却システム
2016-201898 2016/10/13 電子機器の冷却システム


2011年より前と以降とで傾向が全く異なることがわかる。2008年までは医療用画像処理関連の発明が多いのだが,2011年からはコンピュータの冷却技術に関する発明に切り替わっている。


◆   ◆   ◆


次に,「特許公報」掲載分を見てみよう。27件ヒットする:

特許公報

出願番号 特許/登録番号 登録日 名称
2002-218895 4197108 2008/10/10 医用画像複合観察装置
2002-115483 4231237 2008/12/12 画像処理とネットワーク配信を対話的に行うことを可能にしたX線CT装置
2001-373389 3705588 2005/8/5 ネットワーク環境におけるレポートシステム
2001-318705 3704492 2005/7/29 ネットワーク環境におけるレポートシステム
2001-171766 3766608 2006/2/3 ネットワーク環境における三次元画像表示装置
2000-059572 4299944 2009/4/24 多層プロトコルを用いた医用画像情報システム
2002-383174 4361268 2009/8/21 X線CT装置の投影データから直接三次元画像を作成する三次元画像表示装置
1999-264278 4458309 2010/2/19 三次元画像表示装置
2002-132072 4681790 2011/2/10 ネットワーク環境におけるCTデータ蓄積・処理システム
2001-220613 4705737 2011/3/18 コンピュータ断層装置
2011-148293 5170801 2013/1/11 金属基材の防食塗装方法
2007-256207 5252263 2013/4/26 解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置を相互接続した医用画像解析システム
2007-256193 5252262 2013/4/26 解析プロトコルに基づいた前処理装置を具備する三次元画像表示装置と画像保管通信システムの連携システム
2014-170616 5853072 2015/12/11 電子機器の冷却システム
2016-507719 5956100 2016/6/24 液浸冷却装置
2016-517011 5956708 2016/6/24 ダイ及びパッケージ、並びに、ダイの製造方法及びパッケージの生成方法
2016-546560 6042590 2016/11/18 液浸冷却用電子機器、及びそれを用いた冷却システム
2016-546559 6042589 2016/11/18 液浸冷却用電子機器、及びそれを用いた冷却システム
2016-546558 6042588 2016/11/18 液浸冷却用電子機器、及びそれを用いた冷却システム
2016-546557 6042587 2016/11/18 液浸冷却用電子機器、及びそれを用いた冷却システム
2016-507720 6064083 2016/12/22 電子機器の冷却システム
2016-507718 5956099 2016/6/24 電子機器の冷却システム
2016-507717 5956098 2016/6/24 電子機器、及び電子機器の冷却装置
2016-507716 5956097 2016/6/24 電子機器の冷却装置
2016-546556 *** *** 電子機器の冷却システム
2016-546555 *** *** 電子機器の冷却システム
2016-546554 *** *** 電子機器の冷却システム

2014年以降の特許が半分を占めている。そしてその多くが冷却に関わる技術である。

そしてその多くが,「公開特許公報」掲載分には含まれていないことに気づいた人もいると思う。これは「早期審査対象出願」という制度を利用したもので,通常の審査では平均14カ月かかるところを平均で2か月に短縮するというもの。


◆   ◆   ◆


ということで雑に特許情報を一瞥したが,PEZY Computing社の現在の技術力が那辺にあるかというと,冷却技術ということになるかと思う。

大枠ではスパコン屋さんということになるが,画期的なアーキテクチャを実現したとか,そういう話ではなく,あくまでも冷却屋さんであると考えられる。

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