« ラーベ『雀横丁年代記』を読む | トップページ | 時枝誠記(ときえだ・もとき)『国語学史』を読む »

2017.11.12

ジム・ジャームッシュ『パターソン』を見てきた

YCAMでジム・ジャームッシュ監督作品『パターソン』を見てきた。

Paterson046

ニュージャージー州パターソン市に住む,パターソンというバス運転手の日常を描いている。

朝6時10分から30分の間に起き,まだ寝ている妻のローラにキスをし,シリアルを食べた後,出勤。市バスを運転し,水力発電所跡地で昼食を済ませ,再び市バスを運転。夕方には家に戻る。夜は愛犬マーヴィンを連れて散歩に出かけ,なじみのバーで一杯だけビールを飲んで帰る。

毎日,この繰り返しである。それでいて単調かというとそうではない。

実は彼は詩人であり,仕事の合間等,時折思いついたことや体験をもとに,秘密のノートに詩を書き綴っている。日々,新たな詩が生まれていく。

また,妻のローラはいろいろな夢を追いかけるアーティスト気質の女性で,部屋の模様替えをしたり,ギターを習い始めたり,マフィンを大量生産したり,何か新たなことをしている。

見る目,聴く耳さえ持てば,日常は変化に富んでいるということがわかるのだ。


◆   ◆   ◆


主演はアダム・ドライバー。『スターウォーズ』のカイロ・レン役や『沈黙ーサイレンスー』のガルペ神父役など,最近,引っ張りだこの俳優である。この人の抑えた感じの演技が良い。部屋をモノトーンに塗り替えてしまったり,ギターを買ってしまったり,変なパイを作ったり,いろいろと奇矯なことを仕出かすローラに困惑しつつ,優しく見守っているところがとても良い。

ローラを演じるゴルシフテ・ファラハニの演技も良い。夫の詩の才能を信じ,自分の夢を追い続け,とてもキュートだ。

愛犬マーヴィンの演技も良い。パルム・ドッグ賞を獲得したとかいう話も。

最後にちょっとだけ出てくる永瀬正敏の演技も良い。米国映画に東洋人が登場すると奇異な感じになってしまうことがあるが,永瀬の登場は本作のキー・イベントだし,無理が無い。


◆   ◆   ◆


本作を見ていてふと思い出したのが,パーシー・アドロン『バグダッド・カフェ』である。あれは変な人ばかり集まっていたが,ユーモアの散りばめ方や,同じような毎日の繰り返しの中で静かに少しずつ変化が生まれていくプロセスは似ているかな。

|

« ラーベ『雀横丁年代記』を読む | トップページ | 時枝誠記(ときえだ・もとき)『国語学史』を読む »

映画・テレビ・芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

永瀬正敏はミステリー・トレイン以来のジャームッシュ映画登場になりますか。きっとお気に入りなんでしょう。本当に良い俳優ですね。

投稿: 拾伍谷 | 2017.11.12 02:35

永瀬正敏は27年ぶりの登場ですが,その間,ジャームッシュと連絡を取り合っていたとのこと。本作の脚本では,永瀬正敏の部分はあて書きだったそうで,そのぐらいお気に入りの様子。

投稿: fukunan | 2017.11.13 10:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44485/66032147

この記事へのトラックバック一覧です: ジム・ジャームッシュ『パターソン』を見てきた:

« ラーベ『雀横丁年代記』を読む | トップページ | 時枝誠記(ときえだ・もとき)『国語学史』を読む »