山口県立美術館で「西大寺展」を観てきた
山口県立美術館で「西大寺展」を観てきた。
既に東京と大阪で展示が行われ,山口県立美術館で行われているのが,今年最後の展示である。
東京と大阪では,あの美しい「吉祥天立像」(京都・浄瑠璃寺)が展示されていたのに,山口では見られず残念。
とはいえ,西大寺の秘宝の数々には息をのむばかりだった。
奈良後期に作られた「阿閦如来坐像」「宝生如来坐像」の二体は見事なものだったし,西大寺中興の祖,叡尊(えいそん)を模した国宝「興正菩薩坐像」(奈良・西大寺)は鎌倉時代の写実主義のレベルの高さを感じさせた。
西大寺の所蔵品ではないが,本展で併せて展示された如意輪観音坐像(元興寺)もまた素晴らしい仏像で,かたじけなさに涙こぼれかねない。
仏像のほかにも,金銅宝塔(鎌倉時代),金銅透彫舎利塔(これも鎌倉時代)等の国宝も見ることができた。精密な造りで,鎌倉時代の金属加工技術のレベルの高さがしのばれる。仏舎利も拝見できた。
西大寺は孝謙上皇(称徳天皇)により平城京の中に造営されたものである。やがて,都が平安京へと遷ったことにより,宮廷や貴族の支援を受けられなくなった西大寺は衰退。
その後,鎌倉時代に叡尊が登場し,西大寺を再建。西大寺は真言律宗の中心地として栄えることとなった。叡尊は西大寺以外にも般若寺,法華寺,百毫寺ほか様々な寺を再建し,傘下に組み込んでいく。旅館再建請負人「星野リゾート」のようである。"EISON HOLDINGS"だね。飢餓救済活動も行ったし,宗教家のみならず,社会実業家としての側面も強い。
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