ユトクに至る系譜
中川和也訳『ユトク伝』(岩波文庫)の主人公,ユトク・ニンマ・ユンテン・グンポは,チベット王ティソン・デツェン(742~797)に仕え,チベット医学の基礎を築いた人物である。125年も生きたという。最後にはこの世を離れ,医王(薬師仏)の治める都市,タナトゥクに逝ったという。
ユトクの遠い祖先はバヌマという。バヌマは光音天から地上に降りてきた。そこから長い一族の歴史があって,ユトクに至るのだが,読んでいたらわからなくなってしまうので,系譜をまとめてみた。(PDF版はこちら)
この系譜で赤字の名前は女性。あと二重線は婚姻等。<>で囲った部分はチベット名の意味を表している。
重要な人物としては,ケーペー・イトマと医師ビチ・カチェが挙げられると思う。
イトマは居酒屋の娘で大変な美女だったという。それが,数奇な運命の末,医薬女神となるわけである。今,数奇な運命と書いたが,二重線の多さでわかるように,要するに男性遍歴である。
イトマの子孫に医師ビチ・カチェという人物が現れ,この人物と,幼馴染のビラ・カンゼーマがチベットに医学をもたらす。
ビチ・カチェとイッキー・ルチャ王妃の間に生まれた子供,そしてその子々孫々は,吐蕃(チベット)歴代の王の侍医となる。そして,ティソン・デツェン王の御代に侍医となったのが,ユトク・ユンテン・グンポである。
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