病はおおよそ熱性病と寒性病に分けられる
チベット医学によれば,病は404種類あり,それらは熱性病と寒性病に大別される。
薬もまたこの分類に対応して,冷やす作用の薬と温める作用の薬とに大別される。
病は別の観点から,次の8部門にも分類できる:
- 一般的な病
- 小児の病
- 婦人の病
- 悪霊による病
- 生殖能力の欠陥
- 武器による傷害
- 中毒による病
- 老衰
病の根本原因は四大(地水火風)の不均衡であり,四大の不均衡が三大体液(ルン,ティーパ,ペーケン)の攪乱を引き起こすことによって人は病にかかるのである。
診断で最も重要な手段は脈診である。
医師は脈を診ることによって,血液のみならずルンの動きを理解し,熱性病と寒性病の判別を行う。
このとき,脈が深く力強ければ,熱の異常,浅く力が無ければ,寒の異常という判断が下される。
病への対処法は8種類あり,癒しの8科と呼ばれる:
- 治療
- 看護
- 除病(予防,外科)
- 調合(製薬)
- 生薬学
- 油剤(浄化療法)
- 緩和療法
- マントラの読誦
以上は,中川和也訳『ユトク伝』(岩波文庫)の主人公,ユトク・ニンマ・ユンテン・グンポの語ったところである(26,175,325,あるいは386ページ)。
熱性・寒性の分類は漢方にも通じる。
悪霊による病と生殖能力の欠陥がそれぞれ一部門をなしているところがチベット医学らしい。
あと治療法にマントラの読誦があるあたりも。
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