« 『馬賊の「満洲」 張作霖と近代中国』を読む | トップページ | またまた,宇部市万倉の古民家レストラン「倉」でランチを食べてきたわけで »

2017.09.11

『チベット仏教王伝』を読む

このところ,ソナム・ギェルツェン著・今枝由郎監訳『チベット仏教王伝』(岩波文庫)を読んでいる。

ソナム・ギェルツェンは14世紀のサキャ派の学僧である。この本ではチベットへの仏教伝来とチベット(吐蕃)の統一者・ソンツェン・ガンポ王(在位:581年~649年)の生涯が記されている。

チベットに仏教が伝来したのはソンツェン・ガンポ王の治世下,7世紀前半のことだった。唐から嫁いだ王妃・文成公主とネパールから嫁いだ王妃・ティツンの進めによってソンツェン・ガンポ王は仏教に帰依した。

チベットは観音信仰の強い国であるが,『チベット仏教王伝』によれば,それは,遥か昔,観音菩薩が辺境の有雪国チベットを教化することを強く誓い,同地に赴いたことに由来する。

チベットの衆生が苦しんでいる姿を見て観音菩薩は涙した。そのとき,右目からこぼれた涙はブリクティー女尊となり,左目からこぼれた涙はターラー女尊となった。この二女尊は観音菩薩を支えることを誓った。

Sdsc_0670

↑ターラー女尊(ターラー菩薩)

後世,ブリクティー女尊はネパール妃ティツンとなり,ターラー女尊は中国妃文成公主となったという。勘のいい読者はこれでだいたい想像がつくと思うが,ソンツェン・ガンポ王は観音菩薩の化身として現れたのである。そして,両妃の助けを得て,チベットの教化にあたったというわけである。

文成公主に関しては,コバルト文庫から毛利志生子著『風の王国』というシリーズが出ており,『チベット仏教王伝』の解説では同シリーズを読むことを薦めている。

|

« 『馬賊の「満洲」 張作霖と近代中国』を読む | トップページ | またまた,宇部市万倉の古民家レストラン「倉」でランチを食べてきたわけで »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『チベット仏教王伝』を読む:

« 『馬賊の「満洲」 張作霖と近代中国』を読む | トップページ | またまた,宇部市万倉の古民家レストラン「倉」でランチを食べてきたわけで »