『サルまん2.0』出た,そして読んだ
うちの本棚には『サルでも描けるまんが教室』,略して『サルまん』の21世紀愛蔵版上下巻が鎮座している。今から11年前に買ったものだ。
この21世紀愛蔵版の出版に合わせ,著者たちが新たにチャレンジし始めたのが『サルまん』の続編,『サルまん2.0』であった。ブログ「たけくまメモ」や「サルまんブログ」を通じて企画内容,漫画内漫画「デスパッチン」の設定等が公表され,読者を巻き込んでのメディアミックス展開が期待されたのだが……連載は8回で中断,幻の作品と化した。
それが今頃になって(10年経過して)単行本化したのだから読まないわけにはいかない。
今,『2.0』を読んでみると,絵柄も話の運び方(途中にいろんな小ネタが挟まれる)も『サルまん』の頃とあまり変わらない。結局,『サルまん』こそがピーク,金字塔で,以後はこれを乗り越える作品を世に送り出すことができなかったのだと思う。
作者たちもこう述懐している:
「ああ,マンガとしてやれるネタは15年前の旧『サルまん』の時点でほぼやり尽くしていたのだなあ」(竹熊健太郎談,『サルまん2.0』,89頁)
「あんたら本当に『サルまん』を超えられると思ってたのっ!?」「『サルまん』は我々の全盛期に描いた作品だよ!!」(相原コージ談,『サルまん2.0』,92頁)
時間の経過というのは残酷なもので,『サルまん』が大昔(バブル期)の作品となっているのは当然のこと,『サルまん2.0』もまた昔の作品と化している。作者たちも年を取った。読者も年を取った。
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