« 井筒屋山口店でイタリアワイン爆買い | トップページ | (続)35mmフィルムでアニメーションを―『マイマイ新子と千年の魔法』 »

2017.03.06

ごらん。この世界はこんなにも輝いている―35mmフィルムでアニメーションを―『秒速5センチメートル』

DCP上映が当たり前になってきたこのご時勢,YCAMでアナログ=35mmフィルムでアニメーションを上映する企画があり,この日曜日に見てきた。

併せて2本。1本目はいま乗りに乗っている新海誠監督の2007年の作品,『秒速5センチメートル』。

「桜花抄」,「コスモナウト」,「秒速5センチメートル」の3話で構成されたアニメーション。それぞれ主人公・遠野貴樹の小中学校,高校,社会人時代の心の動きを,美しい映像と印象的なセリフとともに描いている。

印象的なセリフ?

例えば,「桜花抄」冒頭,篠原明里が遠野貴樹に語るこれ:

「ねえ,秒速5センチなんだって。
桜の花の落ちるスピード。
秒速5センチメートル。」

これで物語全体の基調が決まった。

このセリフ,映画を見た人の半数は映画館を出た後で口にしているものと思われる。少なくとも小生はそう。でも,これが小学生のセリフだというのが驚き。アノマリカリスとかハルキゲニアとかカンブリア紀の生物談議に花咲かせたりして。末恐ろしや(と思ったら,高校,社会人と成長するにつれ凡庸になっていく)。


映像美は,新海監督作品の特徴なので,改めて言うまでもないだろう。夕暮れの雲越しに銀河系が透けて見えるとか,朝日に輝く高層ビル群とか。

小生もツマも両毛線沿線はわりと知ったところなので,貴樹が明里を訪ねて岩舟駅に向かうあたりはわりとワクワクして見た。あんなに雪降らないって。それにしても,あの寂れた両毛線沿線がこんなにも美しく抒情的に描かれるのは驚き。新海監督の手にかかると自転車の籠に捨てられた空き缶ですら,詩になってしまう。


最終話「秒速5センチメートル」が終わりに差し掛かる頃,もう戻れない過去のフラッシュバック映像に山崎まさよしの名曲"One more time, One more chance"が重なり,見る者のせつない気持ちは最高潮に達する。

ようやくわかった。これは映像詩だ。ああそうか,新海誠監督はアニメーションにしかできないことをやってのけたんだな。


――――――――――
【情報】

2017年3月17日(深夜3:25~4:30)にテレ朝で『秒速5センチメートル』を放映するとか。

テレビやBlu-rayもいいけど,劇場の大画面と音響システムで味わいたいものです。

|

« 井筒屋山口店でイタリアワイン爆買い | トップページ | (続)35mmフィルムでアニメーションを―『マイマイ新子と千年の魔法』 »

映画・テレビ・芸能・アイドル」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/44485/64978569

この記事へのトラックバック一覧です: ごらん。この世界はこんなにも輝いている―35mmフィルムでアニメーションを―『秒速5センチメートル』:

« 井筒屋山口店でイタリアワイン爆買い | トップページ | (続)35mmフィルムでアニメーションを―『マイマイ新子と千年の魔法』 »